第40話 石の行方

 不味いな。

 くそ。

 オレは土嚢陣地から飛び降りた。

「おい。一弥。石を大人しく渡せ!」

 そう試しに声に出してみる。

 しかし、一弥は立ち尽くしているだけだ。

 だが、一弥がまともじやないのは明らかだった。

 思った通り。

 一弥の右耳にはたぶん自分では一生身に着けなであろうイヤリングが蒼白く輝いていた。

 一弥の表情は遠すぎてわからない。

「ねえ。玲奈――僕はどうすればいいだろう……」

 そう呟く瞳は赤く光ってみえた。



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