第2話  中核都市 星乃宮



藤倉彩加あやかが飛び上がって喜んだのは、それなりに意味があった。

なぜならば兄である藤倉 一弥かずやの入学した県立大学がA県の中核都市である星乃宮ほしのみや市にあったからだ。

 もうひとつ付け加えるならば雨宮静奈しずなの事務所が移転してくるのもその場所から近い場所にあった。

 このふたつがどれも別の場所ならば、こんなに彩加は喜ばなかっただろうが、事実として偶然、たまたま近くになってしまったのだから仕方がない。

 この喜ばしい出来事は道教系の錬金術を真面目に習えることだった。

 今までは雨宮家の方まで月一で通っていたが、静奈の時間が取れないこともあり、ほぼ通信教育と化していた。しかも教材が整わないこともあり、問い合わせをする電話代もバカにならなかったからだ。

 それらは距離という物理的な障害が、接触を隔てることとなっていたので、これが解消されれば、思う存分、修行にも打ち込めるという期待が彩加の中では大きくなっていた。

 だが、この出来事は自分にとって最大の障害まで近づけさせることに成った。

 ――それは雨宮 玲奈れいなの存在である。



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