発する
そうと思い立った僕は、さっさとリセットするために、幾つか候補をかきだした。
燃焼は現実的ではない、却下。水もありだが、僕が溺れられる程の広いところは無い。電線はすぐ側にあるが、触ろうとしても届かない。高い所はそもそも周りに無いし。そう考えてると、首締めと包丁に辿り着いた。
早速実験だ。
まずは首絞め。自分のタオルを使って、首に巻き、一気に締め上げる。苦しい。しかし、思ったほどではない。いいぞ、これならいける…
しかし、ここで気づいてしまった。
確かにリセット出来そうだ。締め上げていくごとに、段々聞こえにくくなり、意識も遠のいていく。だが、どうやって最後まで完遂できるんだ?ロープなんて部屋にも、家にもない。買ってきたら怪しまれてしまう。
それならいっそ、もう1つの包丁でいいじゃないか。
昼に実行しても、すぐに見つかったら嫌なので、夜に行うことにした。
そして僕は、夜中の12時ごろ、キッチンから包丁を取り出し、自分の胸に当てた。
これで本当にリセットできるか不安だった。
でも、これに賭けるしか無かった。
その時、突如何かよくわからない感情に襲われた。
悲しいとも、喜びとも、何とでも捉えられる気味が悪い感情。
僕は、訳も分からず泣いてしまった。
自分でも何もわからなかった。
包丁を持つのが少し怖くなった。
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