『十二国記シリーズ』
小野不由美でおもいだすのが、『十二国記シリーズ』著:小野不由美である。
聖徳太子が蘇我馬子とともに編纂したといわれる日本最初の国史の書であり、蘇我蝦夷の邸宅焼き討ちで天皇記とともに焼かれるが、燃失する前に戦火の中から出され中大兄皇子の手に渡っているものの現存していない『国記』について、あーでもないこーでもないと一連のクーデターについて語り尽くした物語……ではもちろんない。
わたしたちの住む世界とは異なる、神仙や妖魔の存在する中華風異世界を舞台にした壮大なファンタジー小説である。
地球と十二国の世界は隣り合っていて、天災「蝕」によって地球人が十二国の世界に流されることもあれば、十二国の世界に生まれるはずの人間が生前に流されて地球に生まれることもあり、様々な立場の人々が過酷な運命に直面し、どう抗い、どう生きていくのか、その困難さが描かれている。
当初、「十二国記」とされてなく、正式な名前すらなかった。だが『風の万里 黎明の空(下)』以降、呼ばれるようになったという。
作者自身、シリーズ名はないが呼びやすいのでおおむね『十二国記』と呼んでいるらしく、シリーズ名が付けられたのは編集部からの要望だと著者インタビューで「ダヴィンチ」に掲載されたらしい。
作品を知ったのは小説よりも、NHKで放送されたアニメである。
アニメになる前、名前だけは知っていたけれど、読んではなかった。
最初が「魔性の子」でホラー小説だった。ホラーが苦手なので、手を出さなかったのだと思う。
国の形といい、子供の生まれ方といい、あきらかに作られた世界というのが前面にあらわれていて、その中で、理不尽な状況に追い込まれながらどう抗って生きていくのか、思考実験的に試されているような作品だとおもった。
昨今の異世界転生、転移ものの雛形といえなくもない。それは現在からふり返ってみての考え方なので、当時としてはどうだったのかしらん。
正直なところ、『マリみて』の方に夢中になっていた気がするので、どんな印象をもったのか、申し訳ないけれどもおもいだせない。
いまも継続しているけれど、前巻から出版の間があくと、忘れてしまうのでついていくのが大変だという感じ。
気楽に読めない、読み手にもなにかしらの覚悟が強いられる、そんな作品の一つ。
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