『鹿の王シリーズ』
いま、異世界ファンタジーもので忘れてはならないのは、やはり「鹿の王シリーズ」著:上橋菜穂子である。
児童文学のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子が書いた「鹿の王」を、Production I.G制作によるアニメ映画が一年の延期を経て、二〇二一年九月十日に公開予定されているということもあって、今回は「鹿の王シリーズ」をあーでもないこーでもないと語ってみる。
「守り人シリーズ」「獣の奏者シリーズ」だけでなく、「月の森に、カミよ眠れ」「狐笛のかなた」を読み、ラジオドラマやアニメ、エッセイを見つけては読んだりテレビに出演すれば見たりと、気づけば上橋さんの作品を追いかけるようになっていた。
その流れで、「鹿の王」である。
二人を中心に物語が書かれている。
一人は鹿を操り、故郷を守るために戦った独角の頭だった男、ヴァン。戦いに敗れ、地下のアカファ岩塩鉱で働かされていたがある晩、謎の獣に岩塩鉱が襲撃される。その後、岩塩鉱で謎の病が流行しヴァンだけが生き残った。ヴァンは地上で侵入した家の竃の中からもう一人の生き残った女の子を見つけ、ユナと名づけて一緒に生きることになる。
もう一人は東乎瑠帝国の医術師ホッサル。彼は病の原因究明のために岩塩鉱に行き、そこで脱走防止の足枷がひとつ外れているのが見つけ、ヴァンの脱走が発覚する。同時に獣に噛まれても病にかからない人もいる事がわかった。この一件でホッサルの従者であるマコウカンは生き延びたヴァンを捜索。また、この病がかつてオタワル王国を滅ぼした黒狼熱ではないかとホッサルは疑いはじめる。
この物語は、黒狼熱から生還したヴァンと治療法を模索し奔走するホッサル。過酷な運命に立ち向かう姿を描いている。
おそらく映画は、鹿の王・上下編をアニメ化した内容になるのではないかしらん。
また、続編の「水底の橋」では、天才医術師ホッサルと彼の右腕であり、恋人でもあるミラルのその後の物語が描かれている。
続編が出たとき正直、「続くんだ」と思い、楽しく読んだのは言うまでもない。
ウイルスを題材に扱っているため、コロナ禍の時代にあった今だからこそ読む作品だといえる。
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