『勾玉シリーズ』
異世界ファンタジー作品として忘れてはならないのは、「勾玉シリーズ」著:荻原規子である。
逆C字形に湾曲し、頭部が膨らみ孔が穿たれ、尾部が細くなっている特徴的な形状で、縄文時代から弥生、古墳時代を通じて見られる装飾用玉類の一つ「勾玉」についてあーでもないこーでもないと熱く議論がかわされるという物語……ではもちろんない。
ハリー・ポッターシリーズを読んでいたときに、日本のハイファンタジーを読んでみたいと思った。
海外のものだと、「指輪物語」著:J・R・R・トールキン、「ナルニア国物語」著:C・S・ルイス、「はてしない物語」著:ミヒャエル・エンデなどがあげられるだろう。
日本のものだと「風の谷のナウシカ」著:宮崎駿、「ロードス島戦記」著:水野良、「フォーチュン・クエスト」著:深沢美潮、「スレイヤーズ」著:神坂一、「十二国記」著:小野不由美、「魔術士オーフェンはぐれ旅」著:秋田禎信などの作品をあげることができる。
であるが、このとき私が求めたのは日本のハイファンタジーであって、日本人が作った中世西洋風の異世界ファンタジー作品ではなかった。
求めるは、「和風ハイファンタジー」である。
この作品を最初に知ったのは、NHKのラジオドラマでだった。
勾玉シリーズは「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」の三部作であり、日本神話を下敷きにしたファンタジー作品である。
読みたかったものに出会えたときの嬉しさは、格別だった。
この流れで「風神秘抄」「これは王国のかぎ」「西の善き魔女シリーズ」や「RDG レッドデータガールシリーズ」を読んでいくことになる。
最近のなろう系にある異世界転生ものをみても、(あれはゲームを下敷きにしているので)中世ヨーロッパ風を舞台にした世界観のものがほとんどだ。
「作りやすい」
「読まれやすい」
そんな作り手と読み手の共通の都合によって流行っているのかもしれない。
根本にあるのは「ここではないどこかへ」の強い思いが、和風ファンタジーを遠ざけているのではないだろうか。
作品は現実逃避の場所ではない。
行きて帰りし物語、そんなことを思い出させてくれる作品である。
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