『魔使いの弟子 シリーズ』
次の海外ファンタジー小説は、「魔使いの弟子 シリーズ」著:ジョゼフ・ディレイニー、東京創元社出版・金原瑞人/田中亜希子 訳だ。
多くの海外ファンタジー小説を手にすると、必ずといっていいほど金原瑞人氏の名前を目にした。今回も、その流れで手にした本である。
ハリー・ポッターシリーズに変わる面白い作品を探していたことも、見つけられた理由の一つだろう。
ちなみに、魔法使いではなく「魔使い」である。
七番目の息子が結婚して生まれた七番目の息子である、主人公トムが弟子入りしたのが魔使い。怖ろしいボガートや魔女やゴーストから人々を守る、危険で孤独な仕事だ。
銀の鎖で敵を縛り、胸に杭を打ち付けて封印する。
勇気だけが、唯一の武器。
けっして、ドラえもんのひみつ道具のような便利な魔法を使って戦うわけじゃない。
アンパンマンかと軽いツッコミがきそうだけれども、内容は暗くて地味で怖くて、面白い。
書き出しに以下のような文言がある。
「その地方のもっとも高い場所は、謎につつまれている。
言い伝えによれば、そこでひとりの男が大嵐の中、
世界を震えあがらせた悪を封じて死んだという。
そのあと、ふたたび氷の時代がやってきて、
去ったとき、山の形や平地の町の名前まで変わっていた。
今、丘の上にある、そのもっとも高い場所には、
昔起こったことを示す痕跡は残っていない――
名前をのぞいて。
その場所は「ウォードストーン」と呼ばれている」
これが主人公のことで、そうなるまでに至る話がこれから物語られていくことを示唆しつつ、お話がはじまるのだ。
つまり、この物語はトム・ウォードの年代記のような自伝的小説なのだ。
児童書ではあるが、子供向けかと言われると首を傾げたくもなる。
でも、読めなくはない。
ティーンエイジャー向けの児童書かもしれない。
問題は、日本語版では十二巻の「魔使いの復讐」で終わっているところにある。
内容もいくつかの謎が残ったままだ。
イギリスの原作では、その後にもう一冊、二〇一四年に「The Spook’s Revenge」が刊行されているが、日本語訳は出ていないのが残念である。
十二巻のタイトルが「魔使いの復讐」、原作本の十三巻のタイトルを訳せばこちらも魔使いの復讐となる。内容は同じなのだろうか、原作本を読んでいないのでわからない。
映画化されたが、日本では上映せずビデオリリースになっている。
なんというか、色々残念におもった作品である。
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