『ハリー・ポッターシリーズ』

 海外ファンタジー小説で思い出すのは、「ハリー・ポッターシリーズ」著:J・K・ローリングである。


 第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』がブルームズベリー出版社から一九九七年に刊行されると、無名の新人による初作であるにもかかわらず、世界的ベストセラーになり、子供のみならず大人にも愛読され、児童文学の枠を越えた人気作品として社会現象となった作品である。


 一九九九年十二月に日本語版が静山社より発売されるも、本屋では買えなかったし図書館でも借りることができなかった。

 仕方がないので、英語の本を借りて辞書片手に読んだのを覚えている。

 やたら、普通ではない普通ではないって出てきて、これがイングリッシュジョークかと思いつつも、翻訳に励むばかりで面白さを感じなかった。

 返却期限が来て返したあとも、すぐには日本語訳を借りることはできなかった。

 そうこうしているうちに映画公開が近づいてきたので、先に映画を見ることにした。

「ハリー・ポッターと賢者の石」を借りることができたのは、映画を見終わってから。

 とはいえ映画を見たあとでは、映像のハリーたちの印象が強くあったため、書籍で作品を堪能することはできなかった。

 その後、順番に読んでいき、ついに読み終えた。

 はじめの頃は、読み終わるたびに「次を早く」と思いながら借りて読み進めていたが、やがて次の巻が刊行されるまで待たされることになった。

 早く続きをと思いながらも、最新刊が発売されたころには前作の話を忘れていたため、読み進めても、何の話を前回してたのかなと思い出すのが大変だった記憶がある。

 映画は「賢者の石」のあと、「炎のゴブレット」「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」を見、それ以外はテレビでみた。

 当時、ネットで知り合った中学生の子がハリポタが好きで、チャットで熱く語り合ったのを覚えている。のちにイギリスへ短期留学を果たすのだから、ハリポタ愛の凄さには恐れ入ったほどだ。

 純粋で一途な思いは、人を動かすのである。

 念願の薬剤師となって、どこかの研究室で働いているだろうか。たとえそうでなくとも、彼女が満足いく日々を過ごしているのなら、なにも言うことはない。


 ハリー・ポッターシリーズは、そんなことを思い出させてくれる作品だ。

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