『魂にメスはいらない―ユング心理学講義』

 心理学で覚えがあるのは、「魂にメスはいらない―ユング心理学講義」著:河合隼雄・谷川俊太郎である。


 これは購入した。

 きれいな青い色の表紙。

 海の中から太陽を撮影したかのような、不思議な本の扉だった。

 当時、谷川俊太郎の名前は知っていたが河合隼雄は知らなかった。

 なので、谷川俊太郎の名前で手にとったのかもしれない。

 心理学に興味をもっていたのも要因の一つだと思う。

 河合隼雄というおじちゃんは、とても愉快な人、という印象だった。

 カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本人として初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得し、日本における分析心理学の普及・実践に貢献した河合隼雄と、『二十億光年の孤独』で鮮烈なデビューを果たし、翻訳や作詞、絵本にエッセイや脚本なども手がける多彩な活動を行いながら心を表現する詩を作り続けている谷川俊太郎が、生を掘りさげ、夢を分析し、死を問いなおしながら魂の根源に語りかける名講義録。

 覚えているのは「死の結婚」という話だったか。

 このあと、河合隼雄の書籍を読み漁りながら、心理学の本を読んでいき、医療系や民俗学など、読書ジャンルがどんどん増えていった。

 海外の人の書いた心理学などの本だと、体験談からはじまるものが多い。

 その体験談の話が面白いと、この本は当たりかな、と思うことがある。

 河合隼雄のいくつかの本にもそれと同じ印象を覚えていった。

 この本もその一つ。

 だから、というほどでもないのかもしれないのだけれど。

 河合隼雄のおじちゃんが亡くなったと聞いたときは悲しかった。

 ユング心理学を通じて日本人の心の状況を探り、日本文化の深遠に分け入った学者だったが、それ以上に面白いおじちゃんという印象が強かった。

 忘れずに本棚に置いておきたい。


 河合隼雄のおじちゃんは、本当におもしろい。

 心理学を読み漁っていくことになったのは、この人に影響されたからである。 

 

 

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