『竜馬がゆく』

 歴史もので覚えているものなら、『竜馬がゆく』著:司馬遼太郎である。


 なぜ『燃えよ剣』でもなければ、『坂の上の雲』でもなければ、『国盗り物語』や『功名が辻』でもなかったのか。

 他の本にくらべて、とにかく分厚かったのを覚えている。

 あとは本のタイトルがわかりやすかった。

 他のは、なんの話なのかよくわからなかった。

 けれど、竜馬の名前を知っていたので「坂本龍馬の本なんだろうな」という感覚で手にとった気がする。

 今までに読んだことのない、小説だった。

 歴史書的な、書き方。

 でも、疲れる。

 当時、時代劇がよく放送されていた。

 その影響から、時代物には抵抗はなかった。

 なかったのだけれど、読んだことがなかった。

 池波正太郎の『鬼平犯科帳』や野村胡堂の『銭形犯科帳捕物』、平岩弓枝の『御宿かわせみ』、隆慶一郎の『死ぬことと見つけたり』などを手にして読むようになるのは、ずっとずっとあとになってから。

 いくつか司馬遼太郎の作品を読み、エッセイのような本も読み、のちに司馬遼太郎作品を語っている『司馬遼太郎の贈り物』著:谷沢永一などの書籍も読んでいくことになる。

 




 歴史で覚えている本は、日本の歴史や世界の歴史である。

 漫画でも読んだけれども、棚に並ぶ書籍数が少なかったので、圧倒的に活字で書かれたものを多く読んだ。

 後に歴史書や民俗学などを読み漁っていくことになるものの、最初はどの書籍だったのか思い出せない。

 それでも覚えているのが、『ローマ人の物語』著:塩野七生である。

 もちろん、一冊ではなくシリーズものである。

 読み応えがあって実に興味深かった。

 ただこれは、歴史小説であって歴史書ではない。

 ふつうに歴史書の棚に並んでいた記憶がある。

『逆説の日本史』著:井沢元彦も読んだ。

 これもシリーズものである。

 読み物としてはおもしろい。


 歴史物に手を出そうとしてなかなか出せないのは、司馬遼太郎の作品を読んで「こういうのは書けないな」と思ったからかもしれない。

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