『新八犬伝』

 次に覚えがあるのは、『新八犬伝』著:石山 透である。


 NHKで人形劇の八犬伝が再放送されていたのを見たからかもしれない。

 詳しい経緯を失念したが、そうでなければ、知る切っ掛けが思い当たらない。

 ただのど忘れかもしれない。

 図書館で見つけて借りた。

 上・中・下の全三巻。

 原作は曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』である。

 だが、一部同作者の『椿説弓張月』の設定を借用、時代も平安期から室町期に移行させ、鎮西八郎為朝ではなく、八犬士のひとり、犬塚信乃が琉球に行き、王朝に仇なす妖怪どもを退治する設定にしている。他にも、馬琴の原作を換骨奪胎して作中に取り込んだ『復讐月氷奇縁』『雲妙間雨夜月』『俊寛僧都嶋物語』など、NHKの放送が一年間の予定が二年間に延長されたための影響が小説にも現れている。

 原作の八犬伝を読まず、いきなりこの作品に触れたので、わたしの中の八犬伝といえば、新八犬伝であり、最後はUFOに乗って飛んでいくという、読んでいて思わず「はい?」と首を傾げてしまったのを覚えている。

「仁」「義」「礼」「智」「信」「忠」「孝」「悌」の珠がほしい。

 なんてことは言わなかったと思う。


 壮大なファンタジーに憧れた作品の一つである。




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