第4話 宇宙と私
私は今、全天の宇宙を見ています。
素敵な星空です。あっ箒星だ!
そんな私の上に機械音声が落ちてくる。
『えー、では改めて説明を聞いてくださるんですね?』
「はい!頑張ります!慣れるより習え!ジョブシステムを教えてください!ハハー!」
しっかり頭を下げる。一応太陽っぽいすごく光ってる星に頭を下げる。
『一応視点の方向は逆です』
「ハハー!」
『後、指を鳴らしながら「カモーン、アレ○サ!」って大声で呼ぶの止めてください。アレ○サではないです。』
「気をつけます。」
『私はexzncdw管理AIシステムの対人情報交換用分散体で、ニーズヘグ、と名乗っています。』
「…んふっ」
『笑いました?』
「笑ってないです。」
だが突然の神話ネームは卑怯だ。神話ネームはネットのご法度であり、ネットリテラシー的に最も恥ずかしいのだ。
もしも家族が神話ネームを使っているのがバレたら丸一年は学校で浮いてしまうほどのインパクトがある。
まあ、AIだし?ギリセーフかなって思うけど、ちょっと…
「…んっ、ふっ…」
『…分かりました。アレ○サです。ご用件をどうぞ。』
「拗ねないで!ごめんて!」
『ではジョブシステムの説明を行います。』
「ニーズヘグさん素敵!」
『…ジョブを取得するには都市や街にあるジョブクリスタルを使用します。』
『これはほぼ全ての都市にあり、国家が中央クリスタルを統制しています。』
『しかし利便性やリソースの節約のために各都市ごとに就ける職や就けない職があります。』
『特殊ジョブがある場所もあるので、それを探すジョブハンター等も存在します。』
「ははーん、嫌な予感がしてきたぞ。」
私はピカピカと光る星を睨みながら腕を組み説明を聞いていたが、話の雲行きが怪しい。
ジョブの取捨選択は、まず間違いなく都市の特性によるだろう。
つまり、ススキノは…
『ジョブに就くとジョブに応じた行為をすることによってジョブポイントが溜まります。』
『ジョブポイントを使用すると、ジョブの働きに有用なツールやアーツを覚えることが出来ます。』
「ツール?アーツ?聞き覚えがあるな。」
『魔法の道具や、特別な技みたいなものです。因みに言及は二回目です。』
「特殊コマンドみたいな。」
『少し表現が古いですが的を得ています。』
つまりはこの世界のジョブとはツールやアーツを得るために就くものであるということ。
逆に言えば、ツールやアーツなしでは殆どやっていけないということだろう。
『ジョブによるツールやアーツは世界の全てに行き渡っている基幹システムです。』
『インフラや生活基盤に深く関わっていて、ゲーム内の住人であるNPCの人々もほぼ須らくジョブに就いています。』
『今、世界はジョブシステムを基本として動いています。』
『ジョブの就き方やジョブの種類、ジョブの説明などは各都市のNPC管理人がしてくれます。』
『ジョブについての概要は以上となります。』
「おっけ、戻して。」
『え、全ての説明を聞かないんですか?』
「…後で!」
『…では、ススキノのカフェ『用心棒』へワープします。』
あのバーそんな名前だったのか。
そしてカフェで登録してたのか。
宇宙が白く染まり、へそと鼠径部を出した姉が眼前に現れた。樽を持っている。
「…ん。あっ!帰ってきた!よかったー、アレクサワールドに誘拐されたのかと思ったよ!皆!いたいた!」
姉は持ち上げていた樽を下に置いた。私はだんごむしか何かだろうか。
「まあ、されてたけど帰ってきたよ」
「そっかー。」
「それでさ、お姉ちゃん、この街のジョブに生産職ってある?」
「ズバっと聞くね。」
「いや殆ど確信してるし」
「無い。いや、厳密には死体を生産する職が沢山ある。」
後ろでモヒカン達が上手いこと言ったったみたいな顔でポーズを取っている。
私はそれを見ながらモンブランを口に運ぶと咀嚼して、少しぬるくなったアメリカンで流し込んだ。
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