悪酔い

 酒とは良い付き合いを続けていきたいのだが、少し扱いを間違えただけで牙を剥くので中々難しい。

 今では自分の限界を知っているので、性質の悪い酔い方はしないのだが、それを知る前、特に酒を飲み始めた頃は、失敗も多かった。

 何処かの店で複数人で飲んだ帰り、私ともう一人は泥酔、運転手のみが(飲んでいないので)正気を保っているような状況であった。運転手の肩を借り、やっとのことで店の外に出た私は、店で飲めばいいものを、急に水が飲みたくなって自販機の前に立った。しかし、買えない。ただ、財布を出し、小銭を取り、自販機に入れ、ボタンを押す。これだけの事が出来ないのである。結局、見るに見かねた運転手が、代わりに買ってくれたのだが、ここから数分記憶が飛ぶ。

 いつの間にか車に乗っていた私は、口の中が猛烈に酒臭いのに気付き、水を飲もうとしたが、どう探しても水が無い。さっきよりは幾分か酔いが醒めていたというのに。

 聞けば、私は水を受け取った後、一口飲んで放り投げたそうである。呆れた運転手も取りに行かなかったらしい。いや、今思い出しても汗顔の至りである。こんなに迷惑な話があるか。

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