恋心と無関心

 子供というのは平気で残酷なことをする。我ながら呆れてしまう。


 卒業を控え、退屈していた日の事である。あるクラスメイトが、実は誰々が好きなんだ、と相談を持ちかけてきた。私は言われるまでも無く、普段の態度から薄々気が付いていたが、そんなことはおくびにも出さず、相談に乗っている振りをしながら根掘り葉掘り聞きだしていた。こんな良い暇つぶしは無いと思った。


 そのクラスメイトは、私を信用してくれていたのかもしれない。今思えば。とんだ見込み違いである。私はそのクラスメイトを焚きつけ、最終的には告白させるまでに至った。いや、そこまで言うのは傲慢か? 元々、告白する気でいて、最後の一押しが欲しくて声を掛けたのかもしれないが、いずれにせよ一つの要因になっていたに違いない。だとしたら、私の性格はともかく、行動はそこまで悪くなかったと言えるかもしれない。


 当日、私はその告白を、ちょっと離れたところで見ていた。

 クラスメイトの子は一生懸命、照れながらも想いを伝えたのだが、相手の子は冷たかった。


「あっそ」


 それだけ言って何処かへ行ってしまった。嫌悪すら無い、完全な無関心だった。流石の私も、なんと声を掛けたらいいものか分からなかった。


 後日、相手の子に話を聞いたのだが、告白されるのが初めてで、なんと言えば良いか分からなかった、とのことだった。傷つける意図も無かったらしいのだが、それをそのまま伝えてほしかった。

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