第3話 鏡よ鏡

「ねぇねぇ」


「.....」


後ろの席の浅間さんが俺に話し掛け始めて既に1週間と数日。

謎が謎を呼んでいる。

何故、浅間さんがボッチに話し掛けているのか.....という謎が。

明日がテスト日、初日だが。


「何.....浅間さん」


「私、綺麗?」


「.....」


まさかの投球ボール。

相当な直球で有る。


デッドボールとでも言えるかも知れない。

俺はその様に思い少し赤面した。

すると、浅間さんは可愛い!と言ってケラケラ笑う。


「鏡よ鏡っていう感じの小説を読んだの。だから聞いてみたの!」


「.....それは他の人でも.....」


「えー。君じゃ無いと面白くなーい」


「.....」


俺じゃ無くても良いと思う。

その様に考えながら、浅間さんを見ると。

でねでね!と言ってきた。


「.....鏡よ鏡って不思議だよね!だって、鏡って元はガラスだよね?ガラスを砂ヤスリとかで磨いただけの。だったら窓で聞いても良く無い!?って感じ!アハハ!」


「.....何が言いたいの?」


「あ、そうそう。結構、話が逸れたけど.....私ってどんな人間かなって、君にとって」


「.....」


何で俺基準。

その様に思いながら、本当に浅間さんは何を考えているか分からない。

と思いながら、浅間さんを再び見ると。

俺をジッと見ていた。


「.....な、何」


「君は鏡見た事有る?前髪切ったら?カッコいいと思うなぁ」


格好良いか.....。

でも俺は全てを捨てたから。

それに好きな女の子にキモいって言われてから.....。

傷付いたから。


「ね?もし良かったらオススメの美容室を紹介しようか?」


「.....また今度で良いです.....」


お腹いっぱいですから。

俺はその様に話して、前を見る。

授業のチャイムが鳴った。

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