第93話 七日間世界征服

ワタルの仲間たち


ツヨシ、ユウジ、シノブ、アオイ、マコ


彼らが元の世界に帰ってきた当日


世界に激震が走った




日本に突如として巨大な樹が出現したのだ


その大きさたるや成層圏にまで達するほど


更に驚くべきことに誰一人


どのような手段を講じても


その周囲1キロ圏内に近づけないのだ


彼ら以外は




「世界樹の創生には成功したな」


「すでに世界中のコンピューターのハッキングを始めてるよ」


「僕の計算では7日で世界征服は完了」


声の主は子供だった


彼が現れた時


ツヨシ達はあまりの衝撃と恐怖におののいた


それもそのはず


彼らを2度も死に追いやった張本人


魔王ショウタロウだったからだ


驚異的な戦闘能力に加え


知能指数300を超える怪物


だが今、彼は頼れる仲間の一人となっていた




地球は『七賢者』と呼ばれる者たちに支配されていた


その正体は


古代アトランティス帝国の生き残り


銀河系から遥か遠く離れた星系からやって来た


アトランティス星人


その進んだ科学技術を利用して


各国の要人を手駒のように操り


暴動に紛争、戦争を引き起こし


自分たちの利益になるように


地球を牛耳ってきた




地下1キロに築かれた要塞


核戦争後もこの要塞に居れば生き残ることが出来る


それだけの設備が整っている


その一室


『7賢者』はその部屋で世界を思い通りに動かしていた


しかし、その支配も突然に終わりを告げる


うつろな目をしてブツブツと独り言をつぶやく7人の老人たち


全身から管が伸び背後の装置に繋がっている


数千年の間


彼らを生き延びさせたテクノロジー


そらが今や彼らを操る装置と化していた


「彼らには、これからも地球を支配してもらうよ」


「未来永劫」


「自分たちの理想通りの夢の中でね」




7賢者の見つめる6人の人影


「しかし本当に7日間で世界を征服しちまうとはな」


心底感心したようにツヨシが呟く


「さすが僕たちを二回も殺しただけあるよね」


皮肉っぽいユウジのセリフに


「ユウジのお兄ちゃん それはもう何度も謝ったじゃないか!」


魔王ショウタロウは泣きそうな声で訴える


「ユウジ 意地が悪い」


「ショウタロウ ユウジももう怒ってはいない」


「そうよ からかっているだけよ」




『秘密結社 ユグドラシル』


7日間で世界を征服した彼らは自らをそう呼び


異星人の侵略に備え


世界を変え始める



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