第92話 早すぎる別離 4/4

異世界間の壁を超える扉を開く準備が整った


ワタルと仲間たちは別れを挨拶を交わす


アトラスとミツミは気を利かせたのか


姿を現さなかった




「ワタル 地球の事は俺たちに任せておけ」


いつも先頭に立ち仲間を守ってくれた騎士


自分たちの故郷を守ることになる


今までの戦いとはスケールが違う


だが、ツヨシの顔には自信に満ち溢れていた


「ツヨシが言うと頼もしいよ」



「魔王の事は任せたよ」


ユウジはいつものように笑っていた


だがワタルの肩を掴んだ手から思いが伝わってくる


本当は一緒に戦いたかったと


「ユウジ 俺、絶対に勝つよ」



「ワタルのアホ ハゲ アンポンタン」


目には涙を浮かべていた


シノブはワタルを強く抱きしめる


その感触を忘れまいとするように


ワタルもシノブを抱きしめた


そして優しく頭を撫でた


「シノブ 元気でな」



「あなたの気持ちはわかってる アオイの事は心配しないで」


足手まといだと突き放した


それは彼女を死なせたくなかったから


アオイには伝わらなかったようだが


マコがその思いを察してくれていたのだ


「頼んだよ マコ」




「みんな元気で またな」


再び会える保証はない


だからこれは願い


絶対に叶えたい願いだった




アオイは一人離れた場所で立ち


ワタルを見つめていた


別れの言葉はいらない


彼女の思いは既に


ワタルに伝わっているから




仲間たちはワタル達に手を振り扉をくぐって行った




辺りを見渡す


久しぶりの故郷の景色


自分たちは帰ってきたのだ


「さぁ 早速はじめるか!」


「10年後って言ってたけど 準備は早い方がいいよね」


「ワタルと約束した 地球は守る」


「私たちに出来るかしら?」


「出来る出来ないじゃない やるんだ!」


「さっさと終わらせて 私は鍛錬に励む!」



ツヨシ、ユウジ、シノブ、マコ、アオイ


たった5人の世界征服が始まる



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