第71話 勇者抹殺部隊 3/4
ダンジョン攻略という偉業が達成され数日後
ハジメーテの街に王都から一万の軍勢が派兵されて来た
彼らの要求は
『謎の錬金術師とそれに属する者の引き渡し』
である
「やつら要求をのまない場合はハジメーテの街を反逆の罪で占領すると抜かしてきやがった」
「もともと王都の連中はこの街を狙ってやがったんだ」
多くの冒険者が集まりダンジョンからの資源で潤っている街を国の直轄にしようと機会をうかがっていた
「今回の件は、この街を手に入れる絶好の機会になったって訳だ」
ギルドマスターは苦虫を噛み潰したようなしかめ面で吐き捨てた
「俺らが出て行っても、結局この街に被害は及ぶって訳か」
「なんだか申し訳ないことをしちゃったなぁ」
「何を水くせぇ事抜かしてやがるんだ?」
「おめぇたちのお陰で、この街も人も変わった」
自分の事で精一杯だった冒険者たちが、お互いを助け合うようになった
ワタルが提供してくれている魔道具が
孤児院の子供たちを飢えから救い
待望の冒険者学校も運営を始めている
教育が、冒険者になっていく若者たちに知識と経験と言う力を与えていく
学んだことを武器にして、様々な分野で活躍する者も出てくるだろう
「それにな 自分の身が危うくなったからって冒険者を、自分たちの仲間を見放す」
「そんな恥ずかしい真似できるわけねぇだろ?」
「領主には俺から話をつける」
「冒険者たちも腹をくくってる」
「徹底抗戦するってな!」
「んじゃあ 悪いけど一応守りを固めておいてくれ」
「相手は一万だっけ? 俺とアトラスで、この街に二度と手出しする気がなくなるように思い知らせてくるわ」
「消滅させるだけなら簡単なのですが、殺さないように手加減するのが大変ですね」
「はぁ? お前らで一万の軍勢相手にするって言ってんのか?」
「今の俺たちはまだまだ弱い」
「だけど一万の軍勢を追い払うくらいには強くなったつもりだ」
訓練されているとはいえ、一般の兵士なら何万押し寄せてこようと、彼らを傷つけることは出来ない
それ故に、アトラスと二人でも制圧できると考えた
しかし、ワタルたちは未だ『勇者抹殺部隊』の存在を知らなかった
そして、彼らが強化された元勇者であることを
「ちょっと待ったぁ!」
そこに待ったがかかる
「その戦い 俺たちも参戦させてもらおうか?」
現れたのは、全身甲冑に身を包んだ戦士たち
『竜殺しの魔導兵団』with『中層の覇者』だった
「相手は一万だそうだな? 相手にとって不足はない」
かつて一国を滅ぼしたと言われる武力
その力は、今では竜をも倒す程に昇華された
実は、先ほどから斥候型兵士がステルスモードで潜伏しているのは分かっていたが放置していた
実は、こういう展開をワタルは期待していたのだ
彼らが加われば、1万の軍全が分断して多方面から攻撃を試みても対応できる
だが並の実力者には任せられない
「うわぁ 『竜殺し』と『中層の覇者』が助っ人かぁ 俺達の出番無いんじゃなね?」
と冗談のように言っているが、実はかなり期待しているのだ
「へへへ おめぇらには迷惑かけちまったからな」
「俺がステルスで本陣に乗り込んで 大将首取って来てやるよ!」
「いや 殺さない方向でお願いします」
「そうかぁ? やっと借りが返せると思ったんだが」
「こりゃ作戦を練り直さねぇとな・・・」
斥候型兵士は、かつてワタルたちに絡んでしまった事を悔やんでいた
そして彼なりにワタルたちに恩義を感じ、それに報いたいと思っていたのだ
「借りを作った覚えなんてないよ? それに助っ人に名乗り出てくれただけで十分」
短い間だが共に戦った
彼らの実力は十分に理解している
「大船に乗ったつもりで戦わせてもらうよ!」
ダンジョン攻略に続いて、国軍との戦いに『竜殺し魔導兵団』さらに『中層の覇者』が加わってくれた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます