第67話 ダンジョン攻略からの凱旋

『ダンジョンマスター・ゴブリン』へと進化したワタル


彼の権限でダンジョン内のどこにでも転移が可能となった


他の冒険者の目に留まらぬよう、地下1階層の人気のない場所へと転移


アトラスそして『魔導兵団』と共にギルドへと向かう


ダンジョン攻略の報告の為だ




「ダンジョン攻略の報告に来た」


団長が受付嬢にそう告げたが、彼女はフリーズしてしまった


さもありなん


何せこのハジメーテの街が出来て以来初めての偉業だからだ




太古の時代、ダンジョンを中心に存在した街は『神々の大戦』の際に壊滅してしまっていた


(いくら一度壊滅したからと言っても、そこから数万年経っている)


(さすがにこの文化レベルはおかしいな)


ワタルが居た世界よりも遥かに、この世界の人族の歴史は長いはずだ、今頃であれば宇宙に進出していてもおかしくないくらいに


もしかすると、神々によって人族が力を持たないように、文明の発達を抑制されているのかもしれない




冒険者カードを提示して確認をしてもらう


「間違いありません 『魔導兵団』とともに『漆黒の守護者』の皆さんも攻略の証明が取れました」


「おめでとうございます!」


「報酬のお支払いは、手続きが必要なため後日となりますがご了承ください」


にこやかに笑う受付嬢も、まるで自分の事のように喜んでくれている




「まじかよ おい『魔導兵団』がダンジョン攻略しちまったってよ!」


「『中層の覇者』のお陰で俺たちは何度も助けられてる」


「これで不可能と言われてきたダンジョン攻略が可能だと証明された 『魔導兵団』様様だな」


冒険者たちのダンジョン攻略も活気づくに違いない




「今日は俺たちのおごりだ 好きなだけ飲み食いしてくれ」


団長は冒険者たちにそう言って、受付嬢に飲食代は報酬から差し引いてもらうように言づけた


「「「「そうこなくっちゃ!」」」」


待ってましたとばかりに酒と料理を注文し始める冒険者たち


すでに『魔導兵団』を恐れるている者は居なかった


『中層の覇者』と呼ばれるようになった汎用型組の活躍のお陰だった


人を避けて過ごしていた彼らも今は、冒険者たちとの交流を積極的に行うようになっているらしい




初めての快挙に、質問攻めにあう団長


だが今日の彼は珍しく饒舌だった


それ程に、ダンジョン攻略達成は彼らにとって悲願だったのだ


「それで、最下層の階層主ってなんだったんだ?」


「火竜だった」


「竜!? マジかよダンジョン攻略もすげぇが『竜殺し』まで成し遂げちまったのかよ!」


『魔導兵団』は『竜殺し』の称号も手にしたのだ


二つの快挙に、宴会の場は大きく盛り上がる


祝いの宴はその日の遅くまで賑やかに続いた




結局、ダンジョンコアには、彼ら『魔導兵団』を人に戻す方法は記されていなかった


だが、収穫はあった


「ドライアドの力を借りれば、元の身体と全く同じとはいきませんが」


「人の姿を取り戻せるかもしれません」


去り際に、ダンジョンコアがそうアドバイスしてくれたのだ




そのお礼にワタルは、ダンジョンコアにある贈り物をした

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