第45話 最終決戦(至高の魔術師VSマコ)
『フォーエレメンタル・オーブ』
解説しようフォーエレメンタル・オーブとは、グラビティ・オーブにさらに3つの属性の自立攻撃魔法術式を追加した究極の魔法の宝玉である
複数の自立攻撃魔法術式を宝玉に付与する技術は『神々の大戦』後失われて久しい
その技術を再現したのがワタルである
と言っても特別高度な技術を使ったわけではない
試しに『術式付与』のスキルを繰り返した結果、全ての術式が問題なく発動できたと言うだけだった
ちなみに『術式改変』によって相手の攻撃魔法の属性に合わせて相殺する属性の魔法で自動的に選択し迎撃する仕組みだ
その古代の魔法技術を再現した10個の宝玉がマコの周囲を回転して守護する
「へぇ あなた魔法の宝玉が使えるのね」
何と、自我を失っているはずの魔術師はマコに話かかけて来た
『オールエレメンタル・オーブ』
全ての属性の自立攻撃魔法術式が込められている
究極であったはずのマコの宝玉を超えたまさに至高の宝玉
「数はあなたに合わせるわ」
そう言うと10個の宝玉が現れ魔術師の周囲を回転し始めた
ここから自立する宝玉同士の迎撃戦が開始された
しかし宝玉の性能の差がマコを追い詰めていく
マコの『フォーエレメンタル・オーブ』は4属性の魔法を発動できるが
魔術師の『オールエレメンタル・オーブ』は
水・雷・土・風・氷・光・闇・無
全ての属性の攻撃魔法を発動できた
しかもその一撃一撃がマコの宝玉よりも強力で相殺できず
マコは、魔法防御障壁でなんとかダメージを受けずに済んでいた
「あら 私を正気に戻らせた相手が この程度なのかしら?」
魔術師の侮るような言葉にマコは反論する
「私の宝玉を作ってくれた、仲間の力を舐めないでで欲しいわ」
自分が何と言われようと構わない
だが、自分たちの為にいつも一生懸命な仲間を侮るような言葉は聞き逃せない
『フォーエレメンタル・オーブ』
『フュージョン』
新たに10個の宝玉を生み出し、その内の2つが一つに融合する
融合した宝玉は、元の宝玉の2倍の威力を発揮する
「属性の数では負けている けれどこれで威力では負けないわ」
宝玉での迎撃戦は互角になったいや、威力で言えばマコの方が押しているくらいだ
「へぇ 素晴らしい錬金術師が仲間にいるようね」
「それじゃあ 本格的に魔法合戦といきましょうか?」
二人の魔術師の魔法合戦の火ぶたが切って落とされた
『エクスプロージョン』
魔法名を唱えるだけで魔法を発動させている
反応するには、敵の魔力が発動する前に属性を見極めて相殺する属性魔法で迎撃しなければ間に合わない
『ブリザード』
爆炎魔法を氷撃魔法で相殺する
(こちらからもいかせてもらうわ)
『サンダーボルト』
『クレイウォール』
雷撃魔法を土系防御魔法で防がれた
「じゃあ こんなのはどうかしら」
『サンダーボルト』『ウインドストーム』
『サンダーストーム』
「融合魔法!?」
融合魔法とは複数の属性魔法を並行詠唱しその効果を融合させる高難易度の魔術
その威力は単純な足し算ではない
『グレイトウォール』
城壁を思わせる強固な壁を創り出し融合魔法を何とか防ぎ切った
「私も本気をみせないといけないみたいね」
『メギドフレイム』『ウインドヴォルテックス』『サンダーボルテックス』『メテオストライク』
『スーパーノヴァ』
4属性の上級攻撃魔法の融合
その威力の凄まじさよ
超新星爆発の名は伊達ではない
これでも威力は押さえてあると言うのだから驚きである
「まずい! まずい! これはまずいわ! うわ~ちょっと煽りすぎたかしら?」
『アルティメットウォール!』
その焦りの言葉とは裏腹に
究極防御魔法を瞬時に発動
しかも魔法の初期発動範囲を取り囲むようにして周囲への影響を最小限に抑えようとする余裕さえ窺えた
「ふぅ あなた無茶するわね 私が押さえなかったら、あなたの仲間まで蒸発してたわよ?」
「私の仲間がこの程度の魔法でどうにかなる訳ないわ」
いやいや
どうにかなってしまっていた可能性が高いです
「それに、あなたならどうにかしてくれると信じてました」
マコは、この魔術師の凄まじい実力を正確に見極め、自分が放った魔法を防ぎきると確信していた
そしてこの魔術師が本気で戦っているのではなく自分を試していることを
「そう そうだったのね やはり私の覚醒の呪文が働いたのは間違いじゃなかった」
魔術師は、魔物に変えられ理性を失う直前に、ある魔法を自分に施した
『覚醒魔法 アウェイク』
しかし、魔物に変えられた拒否反応
更に魔王の洗脳に抗い続けるのは難しいと悟った魔術師は、自分と同等の魔力を感知した時にだけ発動するように術式を書き換えた
自分の全てを受け継ぐに値する者が現れた時の為に
「私の名はエリファス これでも宮廷魔術師だったのよ」
宮廷魔術師とはその国で最上位の実力を持つ魔術師を意味する
その中でも彼女は、稀代の大魔術師と呼ばれていた
「貴方の名前を聞いてもいいかしら?」
「私はマコ 勇者と共にこの世界に召喚された魔術師です」
「そうだったのね 召喚者は特別な力を授かると聞いたけれど」
「あなた達は今までの召喚者たちとは次元が違うわね」
「ほとんど諦めていたの 魔物に姿を変えられ、魔王の洗脳にも耐えられるような人なんていないって」
「でも私の予想は裏切られたわ いい意味でね」
「貴方になら私の全てを託せる」
「私が散らせてしまった沢山の強者たちの思いも一緒に」
自分が自我を失っている間に奪ってしまった命の数がどれだけのものか
高まった自分の力の大きさがそれを痛感させた
「これをあなたに託します」
そう言うと魔術師は呪文を唱える
魔術師の前に光り輝く宝石が現れた
「これは『魔導石』魔術師の知識と力の結晶 ただの魔石とは格が違うわよ」
「さぁ お行きなさい 魔導の力の導くままに」
魔術師は微笑みながら光の粒となって消えていった
その微笑は美しかった
マコの手に握られた『魔導石』の輝きよりもずっと
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