第41話 最終決戦

地下1階層


とうとうここまでやって来た


大きな闘技場のような場所にワタルたちは立っている


そこに登り階段がワタルたちが昇って来たものと合わせて6つある


(何故登り階段が6つもあるんだ?)


嫌な予感しかしないワタル


その答えは、魔王自らが答えた




闘技場の観客席があるはずの場所には大きなスクリーンが設置されていた


そして、そこに映し出された人物


「やぁ みんな久しぶりだね元気?」


ブカブカの白衣を着た子供


魔王ショウタロウだ


「さぁ! このダンジョンも残す所、この地下1階層のみとなりましたぁ!」


「ここまで良く生き残りましたぁ 拍手ぅ! ぱちぱちぱち」


「言い忘れてたけどね このダンジョンは6つに区分けされていて、それぞれで殺し合ってもらってたんだよね」


「ってことで、この階層で決勝戦だよ!」


「せいぜい頑張って僕を楽しませてねぇ!」




そのタイミングを見計らったように5つの階段から6つの蟲毒をそれぞれ勝ち抜いた勝者たちが登ってくる


黒いゴブリンが5体


日本の戦国時代の甲冑の様な鎧を身に纏った剣士


全身鎧と大楯に大剣を持った戦士


皮鎧に短刀と軽装な盗賊


ローブに身を包んだ魔術師


全身鎧に小型の盾と斧を持った戦士




アダマンタイト級冒険者 アトラスの時とは姿かたち


そして身のこなしが違う


まるで生前と変わりない自然な動きだ


だがその身に殺気と狂気があふれ出している


「おのれ魔王 殺してやる!」


そのつぶやきと共に




「恐らく理性を失った段階で強力な催眠か洗脳をかけられているようです」


「目に見えるものすべてが、魔王とその配下に見えているのでしょう」


アトラスが分析した結果を報告してくれる




復讐の鬼と化した彼らは


『ゴブリン・バーサーカー』ではなく


『ゴブリン・リベンジャー』だった


しかし倒してきた相手は全く見当違いの相手


それを見て魔王は楽しんでいたのだろう


どれだけ自分たちをコケにすれば気が済むのか


ワタルは、はらわたが煮えくり返る思いだった




本来なら、全員で攻撃して各個撃破していくのが上策


だが、理性は失っても彼らは元は勇者や英雄もしくは名の知れた冒険者だったはずだ


ワタルたちは正々堂々と一騎打ちで戦うと決めた




甲冑の様な鎧を身に纏った剣士とはアオイが


大楯に大剣を持った戦士とはツヨシが


盗賊とはシノブが


ローブに身を包んだ魔術師とはマコが


小型の盾と斧を持った戦士とはユウジが




アトラスとワタルはそれを見守る


万が一仲間の誰かが敗れた際には、彼らが代わりに戦う手はずだ



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