第27話 VS偽りの不死の王(前編)
死者たちが空へと昇っていくのを見送り、街を抜け丘の上の城を目指すワタルたち
そこには全身鎧に身を固めた騎士たちが待ち構えていた
だが、この騎士も生ある者たちではなかった
リビングアーマー 鎧兜に霊が憑依したもの
かつてはこの城を守っていた騎士たちなのであろう
生前の熟練度がうかがえる見事な隊列を組んでいる
大挙して襲ってきたが、しかしその数の威力を発揮することはなかった
なぜならユウジのピカーッで次々に昇天させられたからである
「あなたは神の使いか?」
「邪悪な者の手先とされる、屈辱の日々も今日で終わる」
「かたじけない」
みな、ユウジに感謝しながら空へと昇って行った
ユウジは終始笑顔だったが目は笑っていなかった
自分たちが魔王よりも強ければこの人たちも死なずに済んだかもしれない
「魔王は僕たちをおもちゃとしか思っていない」
「それが許せないよねぇ」
彼らの姿が、今なお魔物の姿で遊戯の駒とされている自分たちが重なって見えたのだ
シノブの無表情と同じく、ユウジは絶えず笑顔を崩さない
だが、仲間となってから彼の喜怒哀楽が少しずつ分かってきた
城のあちらこちらに配置された、不気味彫刻たち
ただ装飾でない事は、一目瞭然だ
ガーゴイル 体が石で出来ており、侵入者を発見すると動き出し攻撃する
『硬度強化』『飛行』『熱光線』
通常攻撃にも強く、射程距離外からの攻撃で苦戦するはず
が、アオイが刀を一閃する度に生まれる風の刃で切り裂かれ
シノブの『『疾風手裏剣』乱れ打ち』にあっさり撃墜されてしまった
またしても、ツヨシとワタルの出番はない
あっさりと玉座の間へと到着
「ゴミムシの分際で、よくぞここまでたどり着いた」
「褒めてつかわそう」
玉座に腰を下ろし、ワタルたちを見下ろす男からの声だった
「あれぇ ゴミムシが何か言ってるみたいだけど みんな何言ってるか分かる?」
「この不死の王に対してゴミムシだと!」
「ええぇ! このゴミムシが不死の王?」
不死の王?
アンデッドの中でも至高そして最強の存在
ヴァンパイアの始祖がそれであるとワタルが居た世界では物語などに登場したものだ
だが、目の前の男からは、威厳や品格と言った備わっているはずのものが全く感じられなかった
『不老不死』(コアが破壊されない限り)『エナジードレイン』『魔力増加』『魔法攻撃力強化』『分体』『超再生』『形態変化』
無敵の回復術師と不死の王(自称)の毒舌合戦の火ぶたが切って落とされた
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