第19話 昆虫地獄(前編)
地下7階層
虫、虫、虫
カマキリ、ムカデ、蟻に蜂
まさに昆虫地獄であった
「うわぁ、俺虫苦手!」
眼下に広がる地獄絵図に、思わず呻くツヨシ
(いや、この光景みて喜べる奴はいないと思う)
普段、表情を顔に出さないシノブですら嫌悪感を露わにしていたが
「うわぁ! 虫が一杯だねぇ! これは楽しくなりそう!」
歯をキラッとさせながら、戦槌を高々と掲げて嬉しそうに振り向くユウジ
(弱冠一名いた・・・)
無敵の回復術師は、千万無量の昆虫が相手でも無敵状態だった!
「しかし中央に建ってる塔みたいなのはなんだ?」
アオイが指さした方向は、この階層のちょうど中央あたり
高層ビルもかくや、とばかりにそびえ立つそれは
「あれはねぇ、たぶん蟻塚だね! しかし大きいねぇ! 高層ビル並じゃない? あははは」
(いやいや笑い事じゃないよ! 今からあんなの攻略するんだぞ!)
やたらと昆虫に博識なユウジに
ワタルは医師志望のはずが、本当は昆虫博士めざしてんのか!?と突っ込みたくなる
(研究対象を虐殺する博士はいないか・・・)
そのせんはなさそうだと自問自答するワタルだった
「私の広範囲魔法で攻撃してみようか?」
単体への攻撃も強力だが、こういう状況では広範囲への攻撃が可能なマコの魔法は頼もしい
「マズハ ツカノ マワリノ マモノノ センメツガ サキダネ」
とは言え、名だたる昆虫型モンスターがひしめき合う
その真っ只中に無策で飛び込むのは、勇気ではなく蛮勇である
キラーマンティス(首狩りカマキリ)
高周波ブレードの如き鎌で首を飛ばされた冒険者は数知れず
通称首狩りカマキリの名は伊達ではない
飛行しながら真空の刃『鎌鼬』攻撃も厄介だ
『超振動』『鎌技』『鎌鼬』
ジャイアント・センチピード デカい、硬い、毒怖いの3拍子揃った大型モンスター
潰されるもよし
毒に侵されるもよし
顎で潰されるもよし
それが嫌ならば、何もかも投げ捨て、全力で逃げる
それが最善の選択だ
『硬度強化』『耐久力強化』『毒攻撃』『毒耐性』
オーガ・ビー その姿はまさに巨大なスズメバチ
『超個体』集団で一つの意志を持つ為、集団で襲い掛かってくる
遠距離から即死級の猛毒を持つ毒針を飛ばし
接近戦では、強力なあごで頭をかみ砕かんと迫ってくる
その様はまるで死神のごとし
『超個体』『硬度強化』『毒攻撃』『毒耐性』『毒針射出』
G そう奴の名はG
まさに核戦争後も生き残るという都市伝説さえささやかれる奴がこの世界にもいた
しかも、その存在が人間サイズになってだ!
動き回る様は不快感をマッハまで押し上げる
しかも、その動きもマッハ・・・とまではいかないが、時速280キロを軽くマークする
その突進力は重騎士でさえ、吹き飛ばされる勢いだ
『耐久力強化』『加速』『痛覚遮断』『硬度強化』
クラッシュホッパー 一言でいえば、人間サイズのバッタ
バッタは人間大のサイズなら一回のジャンプで9階建てのビルを優に飛び越すと言われているが、それを体現するまさに怪物
名前の由来は、突然飛来し、その巨体で冒険者たちを押し潰す事から名づけられた
『気配察知』『強度効果』『跳躍』
そしてあのそびえ立つ蟻塚の住人 アイアン・アント
『超個体』集団で一つの意志を持つ為、集団で襲い掛かってくる
いかな屈強な冒険者でも、その鋼鉄の肉体を持つ数の暴力には為す術はない
『超個体』『念話』『硬度強化』
果たして、ワタルたちはこの昆虫地獄を生き延びることができるのだろうか?
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