第11話 無敵の回復術師
シノブが新たに合流し、3人パーティーとなったワタルたちは、他の仲間と合流するため捜索を再開した
(シノブの為にも早く見つけてやりたいな)
優し気な笑顔を浮かべる回復術師の顔が浮かんだ
そんなワタルの気持ちもつゆ知らず
ユウジは真っ裸だった
「お前は裸族か!」と突っ込みたくなるくらい
見事に一糸纏わぬ姿だった
その理由は、「最初に出会った敵がスライムだったから」である
シノブが選択したのは『撤退』
ユウジはそのまま『前進』を選択したのだ
装備が、自分の身が、酸で溶かされていくのも構わずスライムに近寄り、『核』を見つけるや否や素早く抜き取る
そして素早く吸収
鮮やかや手さばきであった
『固有スキル』を手に入れ、やけどは治った
しかしスライム討伐を何度か繰り返すうちに、装備は全て溶けてしまった
仕方なく全裸で徘徊していたわけだ
「あ! ゴブリン発見! 全裸の・・・」
嗅覚センサーにゴブリンの臭いを捉えたので、その臭いを辿っていく
しばらくして、前方にゴブリンを見つけたはいいが、手ぶらで、さらに男のシンボルマークをブラブラさせたゴブリンがこちらに向かって歩いてくる
ある意味ホラーだ!
服装?はともかく見覚えのある、優しい笑顔を浮かべ歩いてくるゴブリン
「ユブジガ?」
「ああ! やっぱりワタルかい? 会えて良かったよ~!」
そのままダッシュで駆けよってくる全裸のゴブリン
言い換えれば、激しくブラブラさせて接近してくるユウジ
「こらっ! ユウジ!いいから直ぐに前を隠せ! 前を!」
シノブを目隠ししながら慌ててそう告げるツヨシ
「男同士じゃん! 何を今更恥ずかしがってるんだよ 嫌だなぁ~」
(嫌なのはお前だ!)
心の中で突っ込むワタル
「シノブが! シノブが居るから!早く何か着ろ~!」
「ワタル すまないが、直ぐにユウジに何か装備を渡してやってくれ」
言われるまでもない
ワタルは急いでアイテムボックスから予備の装備をユウジに手渡し装備させる
「いやあ 助かったよぉ! さすがワタルだね!」
再会の感動も台無しである
全裸でブラブラしていた理由を聞いて納得
「スライムはともかく、オークからよく逃げ切れたな」
ツヨシの言葉に
「僕には、これがあるからね 『防御の壁 プロテクションウォール』」
目の前に透明の壁が出現する
試しに『オーク・スレイヤー』で斬ろうと試みたがビクともしない
なるほど、通路を『防御の壁』で塞ぎオークが通れないうちに逃げると言う寸法だ
「じゃあ取りあえず、 僕が目覚めた部屋へ行こうか? 積もる話もあるしね」
そして優雅に戦先頭を歩き始めたユウジ
無敵の回復術師は健在だった
(相変わらずのマイペース野郎だな)
仕方ないと肩をすくめるワタル
3人はその後を、大人しくついて行くしかなかった
その頃、女剣士アオイに危機が迫っていようとは、誰も気づいていなかった
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