当たり前のような優しさ

「あ、あめだ。」


彼と買い物をしていて突然雨が降ってきた。傘を私達は持っていなかった。


「傘、買う?」


彼がそう言うから、買うことにした。

2人で傘を選ぶ。コンビニにはいろんな傘があってじっくり選んだ。オシャレなものもあったけど、やっぱり白い傘にした。

もちろん1本だけ買った。


バンッ。


ワンタッチで開く傘の音。

パラパラパラパラ…

雨が音を慣らしていく。買ったものが濡れないように彼は荷物と私を傘の中心に寄せた。


「荷物はいいからもっと寄りなよ」

彼の濡れた肩を見て、言う。

彼は聞こえないふりをする。

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