第35話 農業と林業の町 プラノティネロス

 ケレストラ皇国の2世代前の戦闘用空中帆船を改造した船でプラノティネロスに向かい、到着した僕たちは驚いていた。王都程の町並みではないとはいえ、発展している町並みがそこにはあったからだ。


「結構発展していますね。王女様の話を聞いた限りでは、もっと発展度合いは抑えられてると思いましたけど」


「うーん…… きっとあれだ。この地を加護している神様は、ここが王都になって加速度的に自然が切り倒されて、過度な発展するのを防いでるんじゃないのかな?」


「いや、違うと思う。 この町だって確かに王都程じゃないが、自然は少ないし…… 私は神様の匙加減だと見るぜ」


 そう言われてみれば確かに、セーフなのかアウトなのかは神様のさじ加減なのかもしれない。もし本当に自然を減らしてほしくないのなら、そもそも人間や亜人の人達をこの地に住まわせたり入れたりしないだろうから。


「まあ、今はこの町の観光といきましょう」


 そうリュエルが言ったので、考えるのを一旦やめて観光をする事にした。どこに観光に行くかはガイドブックを見て決める。


「えーっと、さてどれにしようかな…… あ、この『アーシエント神殿』ってどう?」


 ガイドブックの説明欄には、『この地方で信仰が深い地属性の神かつ自然を司る神『アーシエ』を祀る神殿である』と書いてある。更に関連してアーシエの説明もあり、その説明欄には『アーシエの加護を受けた土地はどれだけ荒れ果てた砂漠だろうと関係なく自然豊かな場所に変わってしまう。自然を愛するものには加護を、自然を破壊するものには天罰を下すらしい。ただそれは、本人の匙加減である為明確な基準はない』と書いてある


「まあ、観光しに来たんだしいいと思う」


「じゃあ次はどこか美味しいお店でもいきましょう」


「了解。この神殿の次は食事の美味しい店に行くね」


 と言うことで、早速神殿のある場所まで向かう。20分歩くと、アーシエント神殿に到着する。


「ここがアーシエント神殿か。雰囲気はルエルフ王国のミストラークにあるクアルスフェス神殿に似てるけど、こっちの方が大きいな」


「ええ。それに、訪れている人の数もかなり多いですね。やはり、それだけ信徒の数が多いのでしょう」


 ガイドブックに地属性の神を信仰する宗教について載っているか気になって見た所、しっかりアーシエント神殿の関連項目のところに説明文があったので見てみる。


『アーシエ教』


 7属性の神を信仰する宗教の内、地属性の神を信仰している。教会勢力としては4番目の大きさで、主にティーテン王国や『ムルセルゼン共和国』で厚く信仰されている。


 説明欄をじっくり見ていると、ミラが僕に声を掛ける。


「クアメル。ガイドブック読んでないで取り敢えず中に入ろうぜ」


「あ、ごめん」


 読んでいたガイドブックを閉じ、神殿の中に入る。



 ~プラノティネロス アーシエント神殿~


 中に入った僕たちは、まず神殿の神官に声を掛ける。


「あの、すいません。お祈りをしたいのですが」


「お祈りでしたら、あちらの扉から入って頂くと祈祷室となっています。今は誰も使用してないので使用可能です」


「ありがとうございます」


 そうして、神官に言われた通りの扉から祈祷室に入った。


「広いな……」


「そうですね」


 どう考えても3人だけだと広すぎるレベルの部屋である。予想だが、100人位は入ることができるだろう。


「えっと、取り敢えずお祈りを……」


 そうして、3人で祈ろうとした時に突然まばゆい光が辺りを包み込む。光が収まり、目を開けるとそこは祈祷室ではなく、どこかの森の中のようだった。どういうことか混乱していると、目の前に突然人が出現した


「やあ。新たな水の女神クアメルと、そのお供の人たち。僕はアーシエ。地と自然を司る神だ」


 突然現れたのは、地と自然を司る神アーシエだった。


「えっと…… アーシエ様こんにちは。私はリュエルと言います」


「私はミラと言います。クアメルと一緒に旅をしています」


「そんなにかしこまらなくても大丈夫。僕の名前も気軽に呼んでね。あ、そうだ。突然で申し訳ないんだけど、頼み事があるんだ。大丈夫かい?」


 現れたアーシエは何やら、僕たちにに対して頼み事があるようだった。

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