第26話 王都防衛戦(後編)
「そらぁー!」
「ふん!」
四天王に向かいながら魔法で水の刀を生成、左から右へ斬り払うも防がれて弾かれる。
僕が体勢を崩したその隙を突いて四天王が火炎を剣に纏わせ、左下から右上に斬り上げてきた。
「水の結界!」
剣が到達するほんの少し前に結界を張れた為、防御に成功するも上空に吹き飛ばされてしまう。
「貰ったあぁぁぁぁ!!!」
上空に吹き飛ばされた僕に追撃をしようと飛び上がってきた四天王は、火炎を纏った剣を上から下へ勢いを付けて振り下ろす。
「くっ! 水の結界!」
再び水の結界を発動して剣撃の防御には成功したものの、勢いまで殺すことはできずに地面に叩きつけられてしまう。
「これで終わりだぁぁぁ!!『インフェルノレイザー』」
最後の止めを刺そうと、地獄より呼び出した全てを焼き尽くす業火を剣に纏わせて急降下してきた。
(あいつ、剣の達人なんだろうな。刀で挑んだのは失敗だった)
今更そう思うが、もう遅い。とにかくあれを止めるため、ある魔法を発動させる。
「舞い散れ!『
桜の花びらの形をした水の弾を、雪が吹雪いているように敵の方に舞い散らせて攻撃する魔法を発動した。
「くそ、水属性魔法か! だとしても完全に打ち消されるとはな……」
相手のインフェルノレイザーを完全に止め、更にダメージを与えることに成功する。
「おいお前。この俺に傷を負わせるとはやるじゃねぇか。名乗れ」
侵略者らしく、上から目線でものを言ってきたので、少しイラッと来た。
「私は、冒険者クアメル。で、貴方は?」
「俺は、帝国軍四天王『狂剣』シェリオン。皇帝陛下の命令により、ルエルフ王国攻略を承った…… てか、お前と一緒に居る奴の顔を見て思い出したぞ。『もしもルエルフ王国に例の2人が居た場合、殺せ。邪魔者が居れば、そいつもまとめて排除しろ』との陛下からの命令も頂いている。退け。さもなくば、お前も殺す」
「2人を殺す? それを聞いて、余計に思いましたね。退くわけないじゃないですか!」
「そうか。ならば、お前もろとも死ねぇ!!」
シェリオンがそう言った後、更に攻撃の激しさが増す。
(流石『狂剣』と呼ばれることもあるな)
「ならば、こちらも行きます! 『拡散水破弾』」
先程までの戦闘で、剣術主体の戦闘スタイルではダメージを与えるのは難しいと判断した為、攻撃と防御に魔法を組み込んで状況にあわせて体術を使用するスタイルに変更した。
「ほらほらどうした。お前の力はこんなもんか?」
放った拡散水破弾を、シェリオンに剣で全て受け流されたが、それでも構わず放ち続ける。
「無駄だ。そんな攻撃では俺は倒せねぇぞ」
(そろそろ育ちきるな)
「勿論、こんな攻撃で倒せるなんて思ってないよ」
そう言って、大規模攻撃魔法を発動させる。
「この美しき大地を荒らす不届き者よ。これ以上破壊と殺戮を振り撒くのであれば、聖なる息吹にて貴様らを滅する! 『
「な、なんだあれは!!!」
そうして魔法を唱えると、僕の背後の高さ30mの巨大な神水桜の木に、花が満開に咲いた。
「くそ! 何故戦闘の途中でほんのり輝く木の苗植えてるんだと思ったが、そういうことだったのか!!」
あの戦闘中に、一瞬の隙を見つけて神の力で生み出した神水桜の木の苗を植え、育ちきるまで時間を稼いでいた。
「さあ、侵略者達に裁きを。『神水桜の舞・満開』!!」
その瞬間、咲いていた花びらがまるで吹雪のように舞い散り、シェリオンに襲いかかる。
「ぐっ! おぉぉぉぉ!!!」
全方位から襲いかかる神気を帯びた花びらを、シェリオンは必死に捌いているが、捌ききれずに少しずつ被弾する。その後直ぐに持っていたオリハルコンの剣が真っ二つに折れて吹き飛んだ瞬間、集中砲火を受けてしまった。
「ちくしょう、もう無理だ…… テレポート!!」
瀕死になりながらも、何とか占領したメリアまでテレポートするシェリオン。それを見た周りの兵士も我先にメリアまで逃げ出したので、王都防衛は大成功した。
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