第25話 王都防衛戦(中編)

 王都を襲ってきた竜騎士飛行部隊の一部と戦っていた魔導防衛隊達は、突如飛来してきた光の槍が、王都上空のドラゴン達を正確に一寸の狂いもなく貫いた光景を見て、非常に驚いた。


「今のは一体…… 俺たちを苦しめていた帝国の竜騎士飛行部隊が、頭に響く高音と共に飛来した光の槍にこうもあっさり貫かれて爆散するなんてな……」


「急降下・急上昇したりジグザグに逃げても当たる誘導性能、高い防御力を誇るドラゴンを簡単に貫いて更に爆散させる威力か。恐ろしいな」


「とにかく、これで上空の驚異から救われた。感謝しないとな」


 その時、アスルファ平原のメリア方面に偵察に行っていた兵士が、身体の所々を負傷して戻ってきた。


「報告します! アスルファ平原メリア方面、王国より2km離れた場所に四天王率いる帝国魔剣軍が、陣地を構築しています! 恐らく……と言うか確実に攻めてくると思われます!」


「その四天王と言うのは誰なんだ?」


「シェリオンです!」


「嘘だろう……あの『狂剣』シェリオンが率いる軍が攻めてくるなんて……」


 帝国軍四天王の中でも一番魔法剣術にけていて、彼に剣で敵うものなど居ないと言われている。それでいて最も皇帝を崇拝している人物である為、皇帝に命令されたり、皇帝の敵だと判断すれば狂ったように襲いかかってその相手を殺すまで斬りまくるその様から、『狂剣』との二つ名でも呼ばれている。


「て言うかお前、見つかったのによく生きて帰ってこれたな」


「はい。追っ手が普通の兵士だけでしたので『魔術閃光弾』を使用し、何とか逃げれました」


「最近開発されたあれか。念のために持たせておいて良かった。とにかく、一刻も早く王に報告をするんだ!」


「了解です!」


 これらのことを王に報告する為、ルーフェルン城に向かう。



 ~ルーフェルン城前 広場~


「流石だな。全部まとめて墜とすなんて」


「詠唱時間が長い分、威力が可笑しいレベルでしたね。当たった瞬間貫かれるのではなく、爆散しましたからね」


「まあ、竜を墜とすだけなら普通の竜伐の光槍で良かったんだけどね。無闇に破壊と殺戮を振り撒くあいつらには、あれ位しないと。正直、四大神技の一つ『裁きの神嵐』を御見舞いしてやりたかったけど、こんなとこで放ったら下手したら街が滅びるから思い止まったんだよね」


「そうか。確かにその通りだな」


「私もです。あ、これからどうします?」


 この状況で普通なら何とか脱出を図るだろうが、まだ武器のエンチャント依頼を達成していないし、何よりこの状況を無視することが僕にはとても出来るものではなかった。なので、心の中で決意を固める。


「街の中を回ろう。敵が潜んでたら遠慮なく倒し、負傷者が居れば治療したいし」


「「「了解!」」」


 そう3人で行動しようとした時、城に駆け込もうとしている魔法使いを見かけたので、何があったのか聞いた。


「すみません。一体何がありました?」


「四天王率いる帝国の軍勢がアスルファ平原メリア方面、王国より2km離れた所に陣取っていて、ここに攻めてくる可能性があるので、その報告をしようと……」


 成る程。だったら次の目標はそこに決まりだな。


 計画を変更し、アスルファ平原メリア方面に陣取る敵軍を撃破することにした。


 ~アスルファ平原 帝国軍野営陣地~


「シェリオン様。申し訳ありません。もう少しで捕らえることが出来たのですが、その時敵が閃光を発する弾を放ち、目が眩んでその隙に敵の偵察兵を逃がしてしまいました」


「何やってんだ。まあいい。とにかく、王都に今から攻めこむぞ!!」


 そう言って出発しようとした時に、突然前方から閃光が放たれ、兵士達が吹き飛ぶ。


「何があった!!」


「敵襲です! 数は3!」


「よし分かった。今から迎撃に向かう」


 こうして、野営地防衛の為にシェリオンは向かっていた。


 敵の3人を見つけた時、その中の1人が俺に向かって来た為、戦闘を開始した。


 ~クアメル側の視点~


「着いたぞ! コイツらか……」


「あの真ん中に居る奴が四天王です!」


「了解。ミラ達は周りの兵をお願いね」


 こうして周りの兵を2人に任せて、今回攻めてきた帝国軍の親玉である四天王に僕は戦いを挑んだ。

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