第20話 王都ルーエル
「ここが王都ルーエルですか。やはり王国の中枢かつ最大の経済都市なだけあって、訪れる人も多いですね」
ルエルフ王国の中枢であり、なおかつ王国1番の経済都市でもあるルーエルは、都市全体が強固な二重城壁に囲まれていて、周辺列強の魔導軍団に匹敵するとも言われる『ルエルフ魔導防衛隊』が王都防衛に当たっている為、防衛能力は高い。
「確かにそうみたいだね。あ、検問の列があそこにあるから並んで待とう」
王都に入るための検問の順番待ちの列に並んで待つ。
そして、3時間経ったが、検問の順番待ちの列が全くと言っていいほど進まない為、未だに王都の中に入れていない。
「検問の待ち時間ってこんなに長かったっけ?」
「いや、どんな国でも平常時ならこんなに長いはずないんですけど…… 恐らくこれは何かがあったと私なら見ますね」
「確かに検問の列がほとんど進んでないこの状況を見るに、これはリュエルの言った通り、何かがあったと見るべきだろうな」
そんな話をしながら更に2時間経つと、今まで列が詰まっていたのが嘘のようにスムーズに動きだし、直ぐに順番がやって来た。
「大変長らくお待たせ致しました。それでは、ギルドカードを所持していれば提示をお願いします」
そう言われたので、僕たちはギルドカードを見せる。
「はい。大丈夫です」
特に問題も無かったようなので、王都の門を通過した。その後、何故先程まで列が全然進まなかったのかが気になった為、そばにいた兵士に理由を聞いた。
「あの、すみません。ほんの少し前まで列が全然進まなかったのは何故でしょうか?」
「その兵士は、そういう質問が来ることを想定していたようで、直ぐに答えてくれた」
「はい。実は先程まで『ルーフェルン城』にて、ヒーティルオン帝国外務大臣との会談があり、その警備の為に王都への出入りを大幅に制限していたからです」
成る程。他国の要人との会談があったからなのか。それにしても、会談の相手はヒーティルオン帝国か。あんな国だから、きっと、ルエルフ王国にも不平等条約とか押し付けそうだな。最悪、お前らが気に入らねえからみたいな理不尽な理由で宣戦布告して…… いや、それもしないで戦争始めそうだ。
そんな事を考えながら、王都へ入る。
~ルエルフ王国 王都ルーエル~
「何か疲れましたね」
「待ってる間はずっと立ちっぱなしだったからな。今日はもう遅いし、どこかの宿に泊まろう」
「良い宿がないかを探す為、検問していた兵士から貰ったガイドブックを読む」
そして、よく考えた結果『トレオラネの宿』と呼ばれるかなり評判の良いこの宿に王都に滞在している間、泊まることにした。
宿に到着すると、早速チェックインしてバイキング形式の夕食を堪能した後、風呂を済ませて眠りについた。
そして次の日の朝……
「みんなおはよう」
「ああ、おはよう」
「おはようございます」
「じゃあ今日は、まず武具屋で適当な武器と防具を購入してから、『フィネス自由市場』に行ってエンチャント付与してから、再びその武器と防具を売る計画なんだけどどうかな?」
フィネス自由市場とは、その場所であれば、商人だけではなくあらゆる人が自由に品物を持ち込んで商売をすることが出来る、いわゆるフリーマーケットのようなものである。日が沈むまでという制限はあるが、人が絶えない人気がある場所である。
「うん。まあ、とりあえず試してみようか」
こうして、僕たちは武具屋で武器と防具を一定数購入した後、フィネス自由市場に向かった。
~フィネス自由市場~
「さて、場所確保しないとな」
僕たちが市場に行った時には、かなり多くの人が思い思いの品物を持ち込んで商売をしていたので、なかなかいい場所が取れなかったが、何とか根気よく探してようやく場所を取ることが出来たので、早速僕たちも商売を始めた。
そして、武具を売り始めて6時間後……
「やっぱり上手く行かないな。売れたの1つだけだし」
「売れただけよしとしましょう。まだ1日目ですし、これからコツコツ頑張りましょう」
とりあえず今日は宿に戻って、バイキングでお昼を取ることにした。
~ルーフェルン城 王座の間~
「失礼致します。王国魔導騎士団隊長のリリセアです」
「ああ、そなたか。どうした?」
ルエルフ王国を統治している、国王レストルシア・ルエルフ3世。エルフ族の男性で、周辺国家に侵略等を全くせず、また王国国民の事を1番に考えて統治している為、信頼も厚い人物である。
「ちょっとこの剣を見てもらいたいのですが……」
そういって俺は、ルエルフ様に1つの剣を渡す。
「淡い水色の光を放っているな。それに、かなりの魔力を感じるぞ。その剣に付与されているエンチャントは、かなり強力なものだろう。おいそれと量産できるものではない。一体それをどこで手に入れたのだ?」
「実は今日、フィネス自由市場に立ち寄ったところ、武器を売っている者を見つけまして、そこに行ってみました。で、その中の1つであるその剣を見た瞬間、底知れぬ何かを感じましたので、購入しました」
「ふむ。その者は一体どんな風貌だったのだ?」
「白い長髪、薄い金の瞳、水色の奇抜な服装をしていました」
「成る程。是非その者に会いたい。探して連れてきてくれないか?」
「承知しました」
ルエルフ様にそう頼まれたので俺は、武器を売っていたその者を探すべく、城を出発した。
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