第14話 ラノアシス大砂漠縦断(後編)
~ラノアシス大砂漠 サドゥレン村~
「着きました。サドゥレン村です」
「かなり大きいな。これは最早、村というより町だな」
「でも、何だか人が少なくないですか? 所々壊れた建物もあるみたいですし」
村の所々が壊され、黒く焼け焦げている。僕たち以外の停まっている巨大ラクダ車の中には、荷台以外は消し飛んでいるような物や、ラクダ車自体は無事でも荷台が荒らされているような物もあった。
「先ほど僕たちを襲ってきた奴らと同じ組織の盗賊がこの村にもドラゴンに乗って襲いに来た後って感じでしょうか。僕はそう思います」
この場に残っていた魔力が、僕たちを襲ってきた盗賊の乗ったドラゴンと一緒だったことから、ルツェの推測は当たっていると思われる。
そんな会話をしていると、噴水広場で人だかりが出来ているのを見つけたので、気になって見に行った。そこに着いた後、その場にいた人に何があったのかを聞いてみた。
「すみません。一体何があったのでしょうか?」
「旅のお方ですか。実は、先ほどドラゴンに乗ったオトラス盗賊団の奴らにこの村が襲われましてな。その時に負傷した者達がこの広場に集められて治療を受けているのですが、なにせ負傷者が多くて治療が間に合ってないんです」
やっぱり来ていたのかオトラス盗賊団。というか、確かにこの数は多い。回復魔法や精霊術を使える6人が負傷者の救護に当たっているものの、全然間に合っていないようだ。
僕も助けになりたいと思ったが、よくよく考えてみれば回復系の魔法とか精霊術と言ったら生命の雫位しかない。しかも、この術単体回復で、なおかつ最大効力発揮するには水と森の精霊両方の力を借りなければならない。どちらかが欠ければ効力は半分になってしまう。
(たとえ、効力半分だろうとやらないよりはマシになるか)
そう思ったので、負傷者の救護に僕も協力をすることにした。
「私も回復魔法使えるので協力します!」
「本当ですか! それは有り難い!」
こうして、6人の魔法使い達と共に負傷者の救護に当たった。
そして1時間後、全ての負傷者の治療を終えることが出来た。
魔法で霧雨を降らせ、そこに生命の雫を重ね掛けする方法を取った。霧雨に生命の雫が混ざることにより、1人に対する効果は結構減少したが、広範囲に行き渡った為、沢山居た軽傷者はこれにより完治した。これで治らない傷病者には直接生命の雫を唱えて治した。
「ありがとうございます! お陰で何とかなりました!」
「いえいえ。お役に立てたようで幸いです!」
と、言った時に3人に何も言わず負傷者の救護に行って1時間も放置したことを思い出したので、急いで戻る。
「みんなごめん。負傷者が居るって聞いていきなり飛び出してって1時間も放置して」
「私は全然気にしてないから大丈夫だ」
「同じく私も気にしてないので大丈夫ですよ」
「僕も気にしてないです。あ、そうだ。クアメルさんが行っている間に宿の予約しておきました」
居ない間に宿まで決めてくれていたとは有り難い。
ここから10分歩いた所にある宿らしいので、皆でそこに行くことになった。
その宿に着いてから、食事を取って風呂に入った後、皆疲れから直ぐに眠りについた。
そして、次の朝……
「ふぁぁ。よく寝た~。おはようございます」
「ああ。おはよう」
「おはようございます」
「皆さんおはようございます。では、朝食取ったら出発しましょう」
こうして、朝食を取った後、サドゥレン村を出発した。
~ラノアシス大砂漠縦断 5日目~
「そう言えば、だんだん草木が生えてくるようになってるな。もう砂漠は抜けたんじゃないか?」
「そうですね。ここまで来ればあと少しでミストラークに着きます。と言っても、数時間程度は掛かりますが」
「数時間か。まあ、その程度なら大丈夫だな」
砂漠の超長旅で、数時間程度の移動がまるで一瞬のように感じられる。
そして5時間後、完全に砂漠を縦断しきり、平原地帯に入る。
「あ、見えてきました。あれが港町ミストラークです!」
「あれがミストラーク…… 凄く大きいな」
「どんな所なのかワクワクしますね!」
そこで目にしたのは、広大な美しい海に面した、とても大きな町だった。
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