第13話 ラノアシス大砂漠縦断(中編)

  ~ラノアシス大砂漠 スレドナ村~


「ようやく休憩地点に到着しましたね……」


「ラクダ車の荷台で一夜を過ごすのはやっぱり……」


「でも、ここを出たらもう2回ラクダ車の荷台で夜を過ごさなきゃいけないからな。我慢してくれ」


  (確かに荷台の中まで砂だらけになって、掃除が大変だったお陰でほとんど眠れなかったからな。こう思うのも無理ないか)


 そんな事を思っていると、ルツェが『食事と物資の補給が同時に出来る大衆酒場があるのでそこに行きましょう』と言ってきたので、そうすることにした。


 

  ~スレドナ村 大衆酒場~


「美味しいですね~」


「この鳥の肉脂のってて美味しいな!」


「こっちの卵料理もいい感じだね」


 砂漠縦断中に食べた保存食よりも圧倒的に美味しい数々の料理に疲れも癒されてきた。


 それらを全部食べ終えた後、物資の補給をしっかりやって出発しようとしたら、1人の男がルツェに声をかけてきた。


「おう! ルツェじゃねーか! 元気にしてたか!」


「あ、リーレンさん。お久しぶりです。僕は元気です」


「そうか。よかった!」


(成る程。知り合いだったのか)


 そう納得していると……

 

「冒険者の方々ですか?」


 そう声をかけてきたので、軽く自己紹介をする。


「はい。護衛の依頼を受けて一緒に旅をしています。クアメルです」


「私はリュエルといいます。同じく護衛の依頼を受けて旅をしています」


「私も同じく護衛の依頼を受けて旅を一緒にしているミラです」


「そうですか。俺はリーレンと言います。ルツェの依頼を受けて頂いてありがとうございます!」

 

 こんなに暑いのに元気な人って羨ましいなぁ。彼を見てそう思っていると……


「そう言えば、この辺りで最近盗賊団に襲われませんでしたか?」


「あ、はい。この村に来るまでに結構な数の集団に襲われましたが、ミラとリュエルが撃破してくれました」


「そうですか。その時に赤いドラゴンに乗った盗賊は居ました?」


「いや、居ませんでしたけど……」


「幸運でしたね。出会っていたら冒険者の方々が居ても恐らく大変なことになってましたよ」


「どういう事ですか?」


 リーレンによると、ここ最近盗賊達がどう連れてきたのかは分からないが、沢山のフレアドラゴンを使いだしたらしい。で、巨大ラクダ車のラクダだけを狙ってブレスを放ち、移動手段を奪った後に降りてきて物資も人も奪ってまとめて売り飛ばすという事件が多発しているらしい。


「成る程。それは何とも厄介な……」


「俺はただの商人なんで、こんな感じで警戒を促すことしか出来ませんが……」


「いえいえ。教えてくれるだけでもありがたいと思います」


 リーレンからドラゴンに乗った盗賊が来るかも知れないと教えてもらったので、今後はそれを警戒して進むことに重点を置くことになった。


 そして、軽く別れの挨拶をした後、再び砂漠の縦断の旅に出発した。


 出発した後、特に何のトラブルも発生しなかったので、

 無事に2日目と3日目を終えることが出来た。




  ~ラノアシス大砂漠 縦断4日目~


「ふぅ。あと少しで2つ目の村だ~」


「流石に2日連続荷台泊まりは堪えるな……」


「僕ももう砂漠縦断はこれっきりにしたいですね」


「旅もやっと後半ですね。頑張りましょう!」

 

 そんな会話をしていると、あの時と同じ、聞くだけで威圧されそうなドラゴンの咆哮が上空から聞こえてきたので外に出て見上げてみた所、7頭のフレアドラゴンと、上に乗っている盗賊が居た。


(ドラゴンの咆哮……上に乗っている盗賊…… リーレンの言っていた奴らがとうとう来たか。)

 

「じゃあみんな。私が行ってくる」

 

 そう言って僕はドラゴンの驚異を排除する為に、荷台の屋根の上に登って魔法を唱えた。

 

「邪なる龍を、その水と光の力を持って貫け『竜伐の光槍』!」


 ドラゴンの魔力を感知して飛翔するこの槍は、1発も外すこと無く命中し、全てのフレアドラゴンを撃墜することに成功した。


「クアメル、相変わらずその技エグいな」


「あんなに居たドラゴンが、あっという間に墜ちるなんて。凄い、クアメルさん強すぎです……」


 数が前より少ないのもあるが、ミスもなく全てのドラゴンを墜とせたのでよかった。

 

「あ、見えてきました! 2つ目の村です!」


 こうして、迫り来る驚異を排除することに成功し、無事に2つ目の村に到着した。



 

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