第9話 王国への旅 国境門戦闘(後編)
(あの人の持っている剣から、神気を感じる……)
そんな事を思っていると、その剣士が急に超加速して、僕に斬りかかって来た。
「うぉっ! ぐっ……」
反射的に後ろに避けたものの、避けきれずに脚を負傷してしまう。
だが幸いにも、致命傷にはならずに済んだので、傷を回復魔法で治して、剣士に反撃をしようと近づいた時、不意に力が抜けて転倒してしまった。
「おい! 大丈夫か!」
「うん。何とか。何故かあの剣で斬られてから力が入りづらいんだ……」
「あの剣で斬られてから力が入りづらい? そう言えば、どこかで見たことが…… ん? まさか、あれは破剣ルメネ!?」
ミラによると、あれは破剣『ルメネ』と言って、遥か昔の、地上界を巻き込んだ神々の戦争『スティア神界大戦』の際に使われていたもので、今現存する9つの内の1つらしい。
あらゆる神に対する殺傷に特化している剣らしく、かすっただけでも神の力を大幅に削り取るという。その分、神以外の存在に対しての殺傷力は皆無だという。
(そんなの持っている相手とか、僕にとっては相性が悪すぎる)
その剣についての対策を考えていた時……
「ちっ。仕留め損ねたか。流石に一筋縄では行かないか……」
突然斬りかかって来た剣士がそう呟く。
「私は、竜騎士飛行部隊総司令レメナス。四天王フィンドル様の命を受け、お前たちを討ち取りに来た!」
「生憎だが、ここで殺られるつもりなど、私は無い!!」
お互いに言い合った後、壮絶な戦いが始まった。
「はあぁぁぁ!」
ギィィン
レメナスの鋭い剣撃を防御結界で防ぎ、隙が出来たところに、水の魔力を纏わせて回し蹴りを横腹に当てる。
「ぐふっ。まだまだぁ! 『ライトニングセイバー』」
今度は剣に雷を纏わせて斬りかかって来た。防御結界で防いだが、少しダメージを受けてしまった。
「ぐっ…… ならば『破龍水弾』!」
神の気を纏った水の塊は、レメナスに向かって行き、それを破剣ルメネで受け止めるが、威力を完全に殺すことは出来なかった。
「ぐわぁぁぁー!」
殺しきれなかった威力の分のダメージを受けて、門に向かって吹き飛んだ。
ドゴオォォォーン
派手な音を立てて、国境の門は崩れてしまう。
「はぁ。はぁ。はぁ。これでどうだぁ」
あの剣で斬られてから強烈な疲労感を覚えた。あまり戦闘が長引けば、こちらが先に倒されてしまう。
「はぁ。はぁ。はぁ。まだだ! 私はまだやられてない!」
(くっ…… これ以上長引けば不味い。ここは最大呪文で一気に倒す!)
そう決意した僕は、『流星水龍弾』の詠唱の準備にはいる。
「空に満ちる水の力よ。今こそ地上に降り注ぎ、悪を浄化せよ!『流星水龍弾』!!」
空の彼方から、流星の如き勢いで水の弾が大量に降り注ぐ。
レメナスは、降り注いでくる魔力の込められた水弾を剣で切り裂いているが、捌き損ねた水弾が腹部に当たってしまう。
「あぁぁぁぁ!!」
猛烈なダメージを受けたレメナスは、その場で倒れてしまった。
「ようやく、終わった……」
破剣ルメネによる神力削りのダメージが凄まじかったためか、僕も限界に達して倒れてしまった。
~ミラ、リュエル視点~
「やばいぞ。クアメルが倒れた! 早く運ぶぞ!」
「今の戦闘の余波で、門が崩壊しています。そこから王国まで何とかクアメルを担いで行きましょう!」
「ああ。でも、まさか神界大戦に使われた武器が帝国軍の手に渡っていたなんてな……」
「はい。かなり厄介ですね」
「それにしても、クアメルが神様だったなんてな」
「私も知りませんでした」
「まあ、クアメルが神様だろうと関係ないけどな。だって、もう『友達』なんだから」
こうして、私達は何とか国境の門を凄絶な戦闘の後、突破することに成功した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます