第3話 ギルドへの道
ギルド(自社)近くの転移ポータル(駅)に到着した。
首都にある転移ポータル(東京駅)には及ばないが、そこそこの規模を誇る転移ポータル(名古屋駅)だ。
地下には迷宮が広がっている。
噂によると、独自の文化を持った地底人が住んでおり、運が良ければ、交渉により地上では入手できないレアアイテムを手に入れることができるらしい。
しかし、朝は時間的な余裕がない。
ギルドへ行くときは、地上を道のりを行くことにしている。
ここからギルドへは歩いて15分くらいだが、気は抜けない。
モンスターとのエンカウント率は、自宅周辺とは段違いに高い。
特に今は季節が悪い。
普段より狂暴なモンスターが出没することがある。
そいつらは、群れを成し、凶悪な武器を振り回し、ときに奇襲を加えてくることもある。
できれば出会いたくない相手だが、そうもいなかいようだ。
★バーサーカー(大学生くらいの旅行者)×6が現れた★
こちらの行く手を遮るように、武器(キャリーバッグ)を引きずりながら、前方をノロノロと歩いている。
仲間同士の会話に夢中なのか、こちらには気づいていないようだ。
だが、安心はできない。
こいつらは、こちらに気づいていなくても、攻撃を繰り出すことがある。
しばらく、刺激しないように後ろを歩いていたが、いくらなんでも歩くのが遅すぎる。
こちらに対して、精神攻撃をしているのではないかと、疑ってしまう。
ギリギリ横を通り抜けるスペースはあるが、こいつらは予想外の動きをすることがあるので、注意が必要だ。
そもそも、正常な精神状態なら、ギリギリしかスペースが無いくらい横に広がって歩いたりはしないだろう。
チャンスを伺いながら、横から追い抜くタイミングを計る。
「(今だ!)」
僅かなスキを付き、移動速度を高める。
「(いける!)」
絶妙なタイミングで横に並び、後はそのままの速度で離脱するだけだ。
だが、突然、バーサーカーが向きを変えてきた。
ガラガラガラッ!
武器が、こちらの足先を掠める。
ダメージは小さいが、ひやりとした。
これだから、こいつらは危険なのだ、ロクに周囲を確認することなく、無差別攻撃をおこなってくる。
ちらっ。
バーサーカーの一体がこちらに気づいた。
だが、すぐに興味を失うと、仲間との会話に戻っていった。
むかっ。
一瞬、攻撃したい衝動に駆られる。
だが、思い留まる。
こいつらに理屈は通じない。
向こうに非があろうとも、集団で攻撃(逆ギレ)してくる可能性がある。
特に縄張り(地元)を離れ、バーサーカー化(旅の恥はかきすて)しているときは、攻撃(逆ギレ)してくる可能性が高い。
結局、そのまま離脱して不要なバトルは避けることにした。
無闇にバトルすることが冒険ではない。
血気盛んな若い冒険者は、意味のないバトルで失敗することがある。
その後は、溶岩地帯(真夏の日向)を避ける位置取りを保ちつつ、ギルドへの道を進む。
この季節の気温は馬鹿にできない。
たかが数秒、溶岩地帯に身を置くだけで、ぐんぐんとHPが削られていく。
わずかな安全地帯(日陰)を渡り歩かないと、生命に関わる。
しばらくは順調だったが、ギルドまで後少しのところで・・・
★さまよう亡霊(スマホを操作しながら歩くサラリーマン)×4が現れた★
こいつらは最近発見された、新種のモンスターだ。
個体数は急激に増えており、世界規模で危険視されている。
新種にも関わらず、幼生体から老生体まで幅広く存在する。
一説ではウイルスによって増殖しているのではないかとも言われている。
運動能力の高い若い個体が危険だと思われがちだが、実はやっかいなのは老生体だ。
年齢からくる根拠の無い自信を武器に、向こうからぶつかってきておいて、こちらの不注意をせめてくる。
対処するコツは、相手にしないことだ。
「・・・・・」
こいつらは基本的にまっすぐ移動しない。
こちらの行く手を遮るかのように、ふらふらと緩やかに不規則な移動をする。
かと思えば、急激な方向転換や、まるでこちらを追尾するかのような動きをすることもある。
そろ~。
息を潜め、さりげなく動きを観察しつつ、間をすり抜けるように進む。
その中の一体に、ギルドで見かけたことがある個体を発見した。
以前は人間らしい動きをしていたはずだが、彼も取り憑かれてしまったのだろうか。
ふらふらと、さまよい、まともな精神を保っていないように見える。
ふぅ。
噂によると、この新種のモンスターに対しては、国家規模で対策が練られていると聞く。
これ以上、犠牲者が増える前に、一刻も早く事態が鎮静化することを祈るしかない。
☆★☆★☆★☆★☆★
「おはようございます」
「おはようございます」
ようやく、ギルド(自社)に到着した。
受付に挨拶し、ギルドカード(社員証)をかざして、ゲートをくぐる。
クエストボード(予定表)を確認する。
さて、今日のクエスト(お仕事)の予定はなんだったかな。
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