#6 闇に抱かれて

 ――圧倒的だった。

 果敢に立ち向かっていったフレンズたちも、キュルルの強い思いを取り込んだサーバルとカラカルのセルリアンには歯が立たず、その多くが地に伏す事となった。


 相手が中型や大型のセルリアンであったのなら、攻撃を与えられる箇所が広い分、集団戦法の強みを存分に発揮出来たことだろう。だが、人型程度の大きさの相手では、同時に攻撃できるのは三・四人程度、それも味方に当たらないように注意した上で戦わなければならない。ホテル内で繰り広げた戦闘のように、それぞれの得意を生かし、個の力で圧倒する戦術こそが、フレンズ型セルリアンとの戦闘においては最善の戦術なのである。

 しかし、サーバルとカラカルを元にしたセルリアンは、個の能力もそれぞれのフレンズを上回っていた。その動きは素早く、包囲することも容易には叶わない。よしんば取り囲めたとしても、その跳躍力を生かし、即座に包囲を脱出してしまう。鳥のフレンズで空中を固めたとしても、対空攻撃を得意とするカラカルのセルリアンの餌食になることだろう。

 その上、セルリアンはこの二体だけではない。隙を見せれば他のセルリアンの攻撃が飛んでくる。この二体のためだけに戦力を集中するのはかえって危険な状況であり、フレンズ側の状況はジリ貧であった。


「なんなのよ、このニセモノ……っ!!強すぎじゃない!!」

 カラカルは、自身の姿を模したセルリアンに何度もパンチを繰り出すが、いずれも紙一重で回避され、一向に当たる気配がない。そして、注意を反らした刹那、横っ腹にサーバルのセルリアンのキックが炸裂し、勢いよく弾き飛ばされた。

「!!うみゃぁっ!!」

 カラカルを傷つけられて頭に血の上ったサーバルは、自身の姿を模したセルリアンに向けて渾身の一撃を繰り出した。しかし、セルリアンはそれを高い跳躍で回避し、サーバルの背後を取った。前方にはカラカルのセルリアンが待ち受け、両側からじりじりと距離を詰める。挟み打ちとなったサーバルは、攻撃のためにこぶしを構えるが、片方を攻撃したらもう片方の攻撃が飛んでくる、そんな状況である。身動きが取れないサーバルは、セルリアンの居る両側を警戒しながら、後手後手に回ることしかできなかった。


「サーバルっ!!カラカルっ!!」

「駄目!!」

 駆け寄ろうとしたキュルルの手首をかばんが掴んだ。キュルルは、瞳に涙を溜めながら、訴えかけるようにかばんを睨んだ。

「離してよ!!二人が……このままじゃ……っ!!」

「あいつらの目的は君の絵だ!!それがセルリアンの手に渡ったら、犠牲がさらに増える!!」

 激情に流されかけたキュルルは、かばんの言葉で我に返った。しかし、そこにあるのは無力感と罪悪感、底の無い後悔だけだった。

 ――そう、このセルリアンたちはぼくの絵から生まれた。なのにぼくは、何ひとつみんなの力になることはできない。なぜ、ぼくはここにいるんだろう。

「サーバル、カラカル、みんな……」

 キュルルが落ち着いたのを確認すると、かばんは再びフレンズの指揮として、周囲の状況伝達や攻撃指示を再開した。彼女の采配が、かろうじてフレンズとセルリアンの状況を拮抗させていた。


(……このセルリアン、単純だけど『連携』を取るようになってる)

 かばんは前線指揮を執る中で、彼女がこれまで相対してきたセルリアンと、性質の違いを感じ取っていた。そして、その鍵はキュルルにあると、直感的に感じ取っていた。そのため、キュルルの身の安全を最優先で確保するようにフレンズを配置し、「絵」を、そして「キュルル自身」を、セルリアンの手に渡さぬよう立ち回っていた。


 ――文明崩壊後に生まれたかばんは知る由もない話だが、かつてこのパークには「女王」と呼ばれるセルリアンの特殊個体が存在し、たびたび猛威を振るっていた。女王はセルリウムの劣化が進行していない「黒いセルリアン」に対して指令を出し、統率を取ることが出来た。

 屋上に集う黒いフレンズ型セルリアンもまた、その性質を引き継いでいた。セルリアン達は新たなる主を、「女王」を再誕させるべく、キュルルの持つ「輝きを生み出す特別な力」を狙っていた。

 ――ヒトの居る所にセルリアンは現れる。純然たるヒトであるキュルルは、セルリアンの渇望する「進化」の鍵だった。

 もちろん、キュルル自身そうした理屈を理解してはいない。しかし、旅の中で降りかかるセルリアンによる災難は、自身とまるで無関係というわけではないと、薄々そう感じ取っていた。


 ――キュルルは何も出来ない。大切な人を喜ばせようとしても不幸を呼び寄せ、困っている友人に貸せる力もなく、自分を犠牲にしようとも何も解決せず、ただ災厄を招くのみ。その身一つでは、誰一人として救うことも出来ない。

 なら――


 キュルルは絵を握りしめ、かばんの背中を見つめた。

 ――誰も救えなくても、ぼくがこの絵を諦めれば、皆の危険を少しぐらい減らすことは出来る。そうだ。かばんさんに絵を渡そう。ぼくにはそれしかできない。何もできないぼくにやれる事なんて、それぐらいしかないんだ――。

 かばんが振り向き、キュルルと目があった。キュルルは両手で絵を強く握り、歯を食いしばりながらかばんを見た。その姿を見てかばんは、何一つ言葉を発することなく、キュルルの方へと歩みを進めた。



「……ダメよ、キュルル」

 完全な意識の外。足元から聞こえた声に、キュルルは振り返った。声の主は、先程セルリアンから重い一撃を食らい、息も絶え絶えとなっていたカラカルだった。

「カラカル……」

「あんたは何も悪いことしてないのに……おかしいじゃない。ただ、みんなを喜ばせたかっただけなのに……」

 カラカルは、地面に掌をついて起き上がろうとしていたが、力が入らず起き上がることが出来ない。大切な友達が傷つき、ボロボロになっている。その光景の痛ましさは、キュルルの心をより深く抉っていった。

「カラカル、もういいよ。もういいんだ……」

「良くないわよ!!ちゃんとイヤって言いなさいよ!!キュルルの弱虫!!」

 カラカルは大きな声で叫んだ。うつむくキュルルを煽るように叫んだ。しかし、キュルルはうつむいたままだった。カラカルはかばんに視線を映した。

「かばん!!キュルルの絵を灰にしたりしたりしたら、許さない!!許さないんだからっ!!」

 かばんは、カラカルとキュルルから目を離さない。彼女の瞳には、二人への憐憫の表情が浮かんでいた。二人の思いは、はるか遠い記憶の彼方、かばんが繰り広げた親友との冒険の日々を思い起こさせていた。だが、他の誰も知らないその旅の末路は、かばんの非情な決断を後押しするだけだった。

 かばんは二人への歩みを進めていく。キュルルは、涙で滲む瞳越しに、旅の思い出の詰まった絵を、じっと見つめていた。


 ――もう、これ以上友達が傷つくのはイヤだ。もう、思い出なんて残さなくていいよ。

 ……そうだ。この戦いが終わったら、ぼく一人で、みんなに気付かれないように、知らないどこかに旅に出よう。パークは広いから、きっとみんなに見つからない場所はあるよね。そこでひっそりと、何も残すことなく、友達も作らず、一人で暮らしていくんだ。

 何もできない、迷惑をかけるばっかりなら、ずっと何もしなければいいんだ。誰とも関わらなければいいんだ。そうすれば、ぼくのせいで誰も傷つかずに済むし、誰も悲しまずに済むんだ。


 キュルルの視界は、徐々に狭まっていき、気がつけば周囲を闇が包んでいた。もはやキュルルには何も見えていない。自分一人の孤独な世界。

 そんな闇の中、突如キュルルの背後に二つの黒い影が現れた。光をも飲み込む漆黒を纏い、鮮やかな青と黄色の模様を輝かせた、二つの鳥の影が――。

「易々とその絵を渡すのか?」

「それを描いたのはあんな事態を引き起こすためだったのか?」

「……ちがう」

 キュルルは振り返ることなく答えた。そんなのは言うまでもないことだ。だが、キュルル自身の思いはどうあれ、結果としてこの絵を描いたことが、この悲惨な事態を引き起こした。みんなの身を危険にさらした。みんなに思い出を壊すことを押し付けた。

 もはや、自分にできることなんて、素直にかばんに絵を渡すこと、それぐらいしかないのだと、キュルルは確信していた。

 そんなキュルルを嘲るように、黒い影は両肩越しに顔を近づけ、ささやいた。

「そうでないなら、渡す理由など無いではないか」

「これが本当にお前の望んだ結末か?」

「お前はひとりぼっちになるために、その絵を描いて、皆を危険にさらしたのか?」

「そんなわけないじゃないか」

 ――ぼくだってひとりぼっちになんてなりたくない。好き好んで、こんなことになるのを望んだわけじゃ無い。けど――

「それでも、ぼくの描いた絵が原因で、今もみんなは戦って、傷ついてる。」

 キュルルは、皆の書かれた絵を見つめた。

「かばんさんだって、カラカルに責められるいわれは無いのに、ぼくの描いた絵のせいで……」

 描かれたふたりのフウチョウたちの足元には、博士と助手を両脇に、笑顔でバスを運転するかばんの絵が描かれていた。優しくて頼りになる、パークで出会ったただ一人の大人のヒト。

「ぼくは、みんなを苦しめたいと思って、これを描いたんじゃない。こんな結果になって欲しかったわけじゃない。ただぼくは……」

 絵を握る手に力が入った。フウチョウたちは、さらにキュルルに問いかける。

「ただ?何だというのだ?」

「答えろ。お前は何がしたい?何故あの絵を描いた?」


「何故って……そんなの……」

 思えば、最初にフレンズの助けを借りた時から、キュルルは描いた皆に絵を渡してきた。理由など考えることも無く。

「わからない……」

 フウチョウは顔を見合わせた。それでも、キュルルが絵を描いてきたことには、深く考えるような理由はなかったのである。これまで出会ったフレンズに、感謝を伝えるために。自分に出来ることだったから、自分の好きなことだったから、そうしてきただけだ。

「ただ……」

 そう、それはとても単純に――

「あの子たちと……みんなと仲良くなりたくて……」

 キュルルは、ぎゅっとこぶしを握り締めた。フウチョウは、真正面からキュルルの瞳をのぞき込んだ。それは、ヒトと言う存在そのものへの「答え」を、催促するかように。


「ずっと助けられてばかりで、ぼくは何もできないから」

 遠くから、フレンズたちの戦う声が、セルリアンとぶつかり合う音が聞こえる――。

「少しでも喜んで欲しくて、わかり合いたくて」

 サーバルとセルリアンが、地面を踏みしめ、風を切る音が聞こえる――。

「友達になりたくて」

 カラカルが、砂利を引きずり、立ち上がろうとする音が聞こえる――。


「みんなのことが好きで……好きで……好きで……」

 キュルルが顔を上げると、闇の中に穴が開いた。キュルルの正面には、かばんが無言で立っていた。先程まで、「奪う存在」としての恐ろしさすら感じていた「大人のヒト」の表情は、先程までとは裏腹に、とても悲しげで、今にも泣きだしそうに見えた。

 まるで、大切な友達と離れ離れになった子供のように。思い出の詰まった宝物を無くした、幼い少女のように。


「そう、大好きで、ただそれだけだったんだ……」

 フウチョウたちは、かばんの後ろにふわりと着地した。その表情に、かすかに微笑みが浮かぶ。

「……そうか、お前にとって本当に大好きな物は」

「絵を描くことでも、思い出でもなく」

 キュルルを包む闇は晴れていた。ひび割れの広がったホテルの屋上、夕焼けに包まれた戦場、キュルルの時間は、ようやく動き出そうとしていた。


「だめだよ……やっぱり、これはかばんさんには渡せない」

「!!」

 かばんの表情がこわばった。キュルルは袖で涙をぬぐい、表情を引き締めた。

「ぼくがこの絵を描いたのは、みんなのことが好きだったから。みんなと近づきたかったから……」

「キュルル…‥」

 カラカルはキュルルの言葉に安堵した。

「けど」

 キュルルは、カラカルの声をさえぎるように口を開いた。その瞳に、かすかに決意の光が灯る。

「それが原因になって、みんなを傷つけて、苦しめた……ぼくはそのことから逃げちゃいけないんだ」

 キュルルは右手を握りしめた。

「ぼくがやらなきゃ駄目なんだ……かばんさんに任せて逃げちゃ駄目なんだ……!!」

 キュルルは右手を広げてかばんの方に差し出した。かばんは、キュルルの行動に目を丸くした。

「ライターを貸して、かばんさん。この絵は、ぼくが……ぼくが……」

 旅の楽しかった思い出が、皆に絵を渡した時の笑顔が脳裏をよぎる。しかし、キュルルは迷いを振り切るように、腹の底から声を出した。

「ぼくが……燃やす!!」


 キュルルに視線が集まった。フレンズたちはキュルルの決断に愕然としていた。キュルルが絵を描いている時の楽しげな表情を、皆はよく覚えていた。特に、それをずっとそばで見てきたサーバルとカラカルにとって、その結論は受け入れ難いものだった。

「ダメだよ!!キュルルちゃん!!」

 セルリアンと対峙していることも忘れて、サーバルは叫んだ。サーバルにとってキュルルの絵は、旅そのものと同じぐらいに、楽しくて大切な思い出の形だったから。

「キュルル!!その絵は、あんたが、みんなのことを……」

 カラカルはキュルルのズボンのすそを掴んで詰め寄った。強がりな反面で、泣き虫なカラカルの目には、今にもこぼれ落ちそうなほど、涙が溜まっていた。

「うん、ぼくがこの絵を描いたのは、みんなのことが大好きだから」

 キュルルは、二人を安心させるように笑顔で答えた。ハッキリと答えたキュルルにカラカルは、その先の言葉を続けることが出来なかった。

「そんな素敵な友達を、ぼくはリョコウバトさんに紹介したかった。ただ、それだけなんだ」

 リョコウバトは、悲しそうな、心配そうな、そんな面持ちでキュルルを見つめていた。キュルルはリョコウバトにも、悲しげな笑顔を投げかけた。

「ごめんね、せっかくあげた絵を無駄にしちゃって。けど、リョコウバトさんは一人じゃないよ。みんながいる」

 いつしか、セルリアンも戦いの手を止め、フレンズと同じくじっとキュルルを見つめていた。それは、人から生み出される「輝き」を知ろうと、じっとその様を観察するように。


 キュルルは絵を見つめ、唇をかみしめた。

「……けど、この絵がある限り、またいつかぼくの思い出が、みんなのことを傷つける事になるかもしれない……そんなのはイヤなんだ!!」

 握りしめたキュルルの拳はプルプルと震えていた。それを遠目に見るフレンズたちも、キュルルの胸中で押し殺された悔しさが、悲しさが、まるで自分の事のように感じられた。

「ぼくが一番大切なのは、絵じゃなくてみんななんだ!」

 キュルルは顔を上げ、空に向かって大きく声を上げた。

「ぼくは……っ!」


 キュルルは、肺の中にため込んだ空気を、すべて叫びに変えた。

「みんなのことが、大好きなんだ――!!」


 叫び声は遠い海へと響く。全てを吐きだしたキュルルは、呼吸を荒げた。かばんは、キュルルが左手に持つ絵を見つめていた。かばん自身、この絵をまじまじと見たのは初めてだ。たくさんのフレンズの描かれた片隅で、博士と助手に挟まれたかばんが楽しげにバスを運転している。

 かばんは理解した。キュルルにとっての「大好きなみんな」には、他ならぬ自分自身も含まれていることを。迷惑をかけたことへの責任感だけではない、他ならぬかばんの事を「悪者」にしないために、大切な絵を自分で燃やす決断をしたことを。

 自分の行動が、目の前の子供にとても残酷な決断を強いたことを、かばんは悔やむばかりだった。本当に憎まれるのを覚悟しての行動なら、無理やりにでも絵を取り上げたり、口先で騙して燃やしてしまうべきだった、と。

 ……だが、覚悟を決めたキュルルの思いを無碍には出来ない。かばんは、キュルルが差し出した右手にライターを渡した。もはやその場に、キュルルを止める者は、誰一人いなかった。


 キュルルは、使ったことも無いライターを不器用に操作し、点火した。

「……そうか、実にヒトらしい、浅はかな答えだ」

「お前の描いた絵を嫌う者など、この場に誰一人として居ないというのに」


 キュルルの右手と左手が近づく。画用紙の隅がチリチリと音が立て、かすかに茶色く染まり始めた。

「……だが、そういう浅はかな行いこそが、ヒトの短所でもあり、同時に長所でもある」

「お前が、考えなしに騒ぎ立てたことが、『やつ』を引き付けたように」

 

 もう後戻りはできない。この絵は――

「来るぞ人間」

「恐ろしい、恐ろしい――」


「「ビーストが――」」




 瞬間、雷が落ちたかと思わせるような、大きな衝突音と共に、鉄筋コンクリートの頑丈なホテルは、縦に激しく揺さぶられた。

 衝突点はキュルルの眼前。屋上を横断する大きな亀裂。吹きあがる粉塵は周囲を覆う。お互いの姿は輪郭を残すのみ。もはやセルリアンとフレンズの区別もつかなくなっていた。

 その衝撃で発生した突風は、呆然とするキュルルから、お気に入りだった水色の帽子を浚っていった。潮風に乗せられた帽子は、さらに舞い上がり、そのまま風に乗って、高く、高く、はるか彼方に向けて、飛び去っていった。


 猛獣の低い唸り声が響く。キュルルの持っていた画用紙は、衝撃と鋭い爪に触れて、びりびりに引き裂かれた。細切れとなった紙片は、粉塵と共にひらひらと辺りを舞う。

 粉塵の嵐の中、金色に輝く二つの光は、その場にへたり込んで呆然とするキュルルへと、まっすぐに向けられていた。

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