第3話 転生3

目が覚めると、周りは瓦礫の山。辺りには鉄くさい臭いが漂っていた。俺が起き上がろうとすると「ゴロッ」。お腹の上から丸いものが転がり落ちた。俺はそれを拾おうと手探りで落ちたものを拾う。


「ッ?!」


 手に絡みつく細長い糸、生暖かい液体、そして何より触ったことのある形。

 俺は声にならない悲鳴をあげると、えずき、腹の中のものを周囲にぶちまけた。

 「アデル」の記憶が頭の中に流れてくる。記憶の中に何度も出てくる家族、友人の顔が先の首そっくりで、余計に吐き気を促す。


 しばらくして吐き出すものがなくなった。口の中はすっぱ苦い味が残り、俺の中には虚無感しか残っていなかった。「アデル」の記憶として流れてきた家族や友人、村の人々が目が覚めた瞬間、すべてが壊れて亡くなっていた。身体は五歳。精神は十八歳。さすがにこの苦難を乗り越えるには若すぎた。俺は泣きつかれてゆっくりと瞼を閉じた。


 次の日、俺はやるせない気持ちの中覚悟を決め、行動を開始することにした。

 まず最初に動いたのは亡くなった村人たちを弔ってやることだった。

 元は村の広場だった場所に大きな穴を掘り、村人一人一人を即席の棺に入れ、埋葬していく。

 そして穴を埋めたら、木の板に一人一人の名前を「アデル」の記憶から探し出し、日本語で書き綴っていった。


「最愛なるわが友56名、ここに眠る」


 次に家捜しのようで気が引けるが、村の一軒一軒をくまなく探し、当分の食料をかき集める。幸い、どの家にも干し肉など長期保存の利く食べ物があったため、当分は飢えを凌ぐことができる。

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