第2話 転生2

 田中 英一は車に轢かれて死んだあと、白とも黒ともつかない空間を彷徨っていた。


(あぁ、ここが天国なのか…?)


 そう思いながらも、この空間を自由に移動できるわけでもなく、フワフワと漂っていた。


 何時間経っただろうか?かなり長いこと漂っていると、いきなり目の前に光輝く扉が現れた。そして、扉が音もなく開くと吸い込まれ、消えた。


――― ——— ———


 俺、田中 英一は突如として現れた謎の扉に吸い込まれ、四角い部屋に飛ばされた。四角い部屋には特に何もなく、部屋の中心には白い椅子がポツンと置かれているだけだ。

 そして、窓もなければ扉も、隙間もないこの部屋に突如声が響き渡った。


「汝、行き先を選べ」


 とてもエコーのかかった渋い声が響いた。

 白い椅子に座っている俺の前にぼんやりと二つの選択肢が見える。


デット or アライブ


 とあるアニメを思い出したが、そのことは頭の隅に置いておく。

 俺は若くして亡くなった身。自然と手は「生」に伸びていた。


「よかろう。汝の覚悟、しかと受け止めた」


 再び声が響く。

 すると部屋の輪郭がぼんやりとぼやけ初め、また白とも黒とも見わけの付かない空間に揺り戻される。


「汝に『元素魔法』を授ける……頑張ってね」


 渋い声が聞こえると、突如として睡魔に襲われ、瞼が勝手に閉じていく。そして意識を失うその瞬間、今まで聞いたことの無いほどの美しい声が聴こえたような気がした。

 魔法⁈美しい声⁈俺の頭の中はパニックになっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る