第25話 新しい出会い

街に向かい始めて4日たった。

ギルドの話では、4日有れば着くとの話だったはずだ。

実際、奥の方に小さく城壁が見える。


「アオ、今日の分あるか?」


『ア、ルの』


今日の分とはスライム核のことだ。アオは日によって違うが、3〜4個は毎日出してくれる。

それに血を入れ、生成するのだ。

今は、スライム核が15個ある。

今すぐ作っても良いのだが、それで魔力を使って魔物と遭遇、なんて嫌だから安全に街についてから作ろうと思ってる。


すぐに見つかるとは思っていないけど、俺が生まれた街あると良いな

それに俺を捨てた理由も知りたい。
















「ふぅ、ついたついた」


昼が少し過ぎた頃に街に着くことができた。

時間は昼なので門には長い列ができてしまっている。

でもピズは急ぐ必要もないのでゆっくり待つことにした。


この街はフーデルと言って前回の街よりは少し魔物が強く、この街の冒険者も強い。

城壁も高く、分厚そうだ。

そしてこの街は果物が有名だ。りんごにメロン、ぶどうなど、様々な果物がある。

しっかり【亜空間収納】に入れていつでも食べれるようにしたい。


『ピ、ずなんカ、クる』


「アオ?何が来るんだ?」


『シャがんで』


そう言われ瞬間、自分でも頭を低く伏せた。


瞬間。



城壁にポツポツと人間が飛んでいった。


意味がわからない。

遠くの方からありえないスピードで人が飛んできて、そのまま城壁にぶつかり死んでいく。

やばい。あのスピードを出せる腕を持つ魔物がいるということだ。

反応の遅れた商人は首から上が人に巻き込まれてぶっ飛んでいる。


遠く過ぎて何も見えないのでスキル玉の【弓使い】を使い遠くをみた。

数倍された視覚で、その魔物を捕らえることができたが、あまり鮮明には見えなかった。

でも、わかってしまった。

赤黒く、大きく肉ついた腕に、血管も浮き出ている足、そして顔には紫色で光っている2本の角。

どうみてもベヒモスだった。


確かにベヒモスは存在する。山奥にたくさんいると言われている。

だが、滅多に街などには降りてこない筈だ。人間側が悪さをしなければ。


あんな化け物が出てきたらこんな街なんて1日もかからず壊滅するだろう。

終わりだ。

逃げないと。

しかし、圧倒的な恐怖のせいで足が動かない。

圧倒的な強者だ。

こっちは食われる側だ。

終わりだ。

俺の人生は特に何も良いことがなかったな。

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