第23話 学舎
「準備はできた?」
「うん!…でももうあえないのか」「はいです!」
2人ともリュックを背負って、学舎の門の前にいる。今まで毎日勉強をして、外で戦闘訓練もして……と2人とも頑張った。どちらも、入学試験は合格し、晴れて学舎…学校に通うことができるようになった。
学校は5年間通うことができてそこから進学もしくはギルドに入るっと選択できる。
だが、2人とも進学する気は無いようで、ギルドに入るらしい。
少し前の魔物災害で、1,000,000メルももらってしまった。
精霊魔法のことはギルドマスターが知っているし、魔法と精霊魔法の違いは、魔法を行使した後、消えるか、消えないかの差だ。消えれば魔法。消えなければ精霊魔法。
結果として消えなかったので、精霊魔法となった。そしてこの街で精霊魔法を使えるのは俺だけ。結果として、報酬を受けることになった。それがこの額。どうやってこの額を集めたかは、掃伐戦に来る予定だった騎士団にお金を渡すことがなくなったため、その分のお金をもらえたらしい。
このお金を使って、2人の装備を整えた。
シャイがきているのは
腰に短剣と魔法用の触媒。服は動き重視の軽装で、割と防御力も高め。
メイがきているのは
背中に槍。服はシャイと一緒。しかし、獣人化をすると服がビリビリと少し破れるため、伸縮性のある服だ。
まぁビリビリといっても身体中から毛が生えて服が圧迫されて、腰周りが少し裂けるぐらいだけど。メイの獣人化は茶色い狼型の獣人化だった。形はほとんど人だが、尻尾が生えて、爪が長くなり、肉球ができて、身体能力がバカ上げされていた。多分レベル10は上がっている。
「ネックレス無くさないようにね」
「無くさない!」「大丈夫です!」
ネックレスとは、入学までに必死で作った、いつでもどこでも俺の居場所がわかるようにネックレス型にして示し石を使ったピズだけを探すことができる魔道具だ。
示し石は、魔石に知りたい人の魔力をあらかじめ馴染ませ、魔力を込めると、馴染ませた魔力が持ち主に帰ろうとする力で赤く示してくれる品物だ。それを急いで作って、2人に持たせた。俺が死ぬと、ネックレスに魔力を込めてもどこも示さない。
2人に言ってないけど。
「さ、頑張るんだよ!行ってらっしゃい!元気でね!」
「行ってくるね!」「頑張るです!」
2人とも学校に入っていった。
「寂しくなるな」
いつも3人で過ごしていたので、寂しく感じた。
♢
「おお、また光ってるな」
宿で、ゆっくりと過ごしながら、地図に示された白と茶色の点がある。
これは、結構値段が張る全土地図だ。
この地図はこの世界すべての街、森が書かれている。(未探索地もあるが)
実はあのネックレスには仕掛けがあり、魔力を込めるとピズの居場所を指すのと同時に、この地図に、その発信場所を確かめることができる。
そして、入学式が終わったのであろう時間から、何度も点が表示されていた。
「ちょっと過保護すぎるかな」
いつか、ギルドに入ったらまた会おうねと2人と約束したので居場所をわかるようにしたかったのだが、こっちまで2人がどこにいるか知る必要はない。
時間もお金もそれなりにかかっている。
なんせ現在の手持ち金額は206,700メルなのだから。
ちょくちょく、貿易場で鉄花や、針を送っているので、ギルド貯金は少しはたまっているが、これは2人が使えるようにしてある。なくならないようにしなくては。
「なぁ、アオ、お前本当にスライムなのか?」
『そ…う……』
カタコトだが、喋るスライムだ。どうしてかしらんけど、喋るようになっていた。
「そうか、そういうことにしとくか」
『……ん』
このスライムは、2人によく懐いていたので、ちょっと寂しそうでもある。
「これからまたぼっち冒険か…いや1人と1匹か」
そしてここから再スタートするのであった。
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