第20話 戦闘2

「そろそろ、使うか」


青年が去った後、11体の魔物達は、ピズに向かってきた。少しずつ後ろに下がりながら、攻撃を避け、ノーダメージで倒すことができた。

代わりに、また数十体はきてしまったが。


「さて、腰だっけか」


腰には、ビー玉サイズの紋章がある。これは召喚魔法の指定型だ。前、ゴブリンを倒した時に、なぜここにいるのかわからないが、【精霊術】で大精霊をテイムすることができた。

対価は、魔力と血。どっちも、今は沢山ある。ちょちょっと掃除を手伝ってもらおう。


ピズは腰の紋章の100の魔力を込めた。

すると、足下に、大きな、水色の魔法陣が浮かび上がった。

そこから、グラキエースという大精霊が出てきた。

『「さしぶり!フフ!やっと呼んでくれたんだ!嬉しいなぁ!ずっと待ってたんだよ?君の魔力はなんか、心地いいから好きなんだよね!フフ!』


前聞いた時と同じ声だった。幼い子供のような、そんな声だ。それに、契約した理由がわかった。

人の魔力は、それぞれ特徴がある。精霊達はそれを基準で決めてるのかな。少なくても、このグラキエースは、そうみたい。それに、血を要求するのは、単に、精霊の好みだろう。


「ああ、さしぶり、ところでそこの魔物達、全部殲滅してくれるかな?」


『まっかせてよ!ピズから私に流れる魔力が心地いいからいくらでも頑張っちゃうよ!フフ!』


魔力とは、おそらく、血に混じった魔力だろう。そんなに心地いいのかな。俺の魔力。


【亜空間収納】に血はたっぷりある。一滴20秒、相当持つはずだ。25,010滴ある。だから、83分は持つ。だが、大事にしなくては。


血が、【亜空間収納】から、勝手に減った。きっとグラキエースが吸ってるのだろう。


『いっくよーー!!』


対価を受け取ったグラキエースは、魔力を練っていく。自分の魔力まで使ってくれてるらしい。大精霊は空気中から無限に等しい魔力を得るので魔力切れなんてないのだろう。だからどんどん魔力を練っていく。……練っていく。……練っていく。……練っていく。……練って…練りすぎではないか?


「ちょ、グラキエース!魔力練りすぎじゃない?」


『んー?そんなことないよ?殲滅するんでしょ?フフ!なら、一発で殲滅せんめつした方がいいじゃん!フフ!』


「おい!まだ冒険者いるんだぞ!やめろ!!」


『それではいっきまーす!フフ!【エンシェントフリーザーサイクロン】!!』


「馬鹿野郎!!」


グラキエースが、伝説級の古代魔法を行使した。結果。

街が全壊……とはならなくて、しっかりグラキエースが街を保護するフリーズシールド中級魔法を魔力に物を言わせて、無詠唱で氷魔法に強い結界を張っていた。


『どーだ!これにて一件落着!フフ!じゃ、世界中を回る旅をしてくる!じゃあさいなら!フフ!』


「……あれ、なんも、壊れてないのか?……あ、うん、そっか、グラキエースお疲れさん」


グラキエースは、ぽっと出てきて、ぽっと消えた。まさに嵐のようだ。


「よかった…これで、誰もケガ人は……あれ…」


ピズが見た光景は、結界で守られていなかった、無人の家たちは、完全に凍り付き、その奥の、森まで、凍ってしまっていた。しかも、凍ったとかのレベルではない。もう、一体が氷になっている。もう森の中には入れなくなってしまった。全てが氷ずけ。

これは、逆に怒られるかもしれない。


周りの冒険者を見ても、もう反応がない。っと思ったが。


「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」


一気に歓声が上がった。


「はは……逃げよ!」


いろんな人に囲まれるのが嫌なので、颯爽と逃げることにした。

向かう場所は、シャイとメイのところだ。元気にしてるかな。



特に何事もなかった討伐戦だったので、ピズの口元は上に少しつり上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る