第19話 戦闘開始

「ここにいてよ?わかった?魔物が来たらすぐ逃げてね?」


「行かないでーー!」「行っちゃダメです!」


「行かないといけないんだ、ちゃんと戻るから!」


ピズは冒険者がいる方に向かった。

シャイとメイは丘の上の方にいる。一般庶民たちと行動している。2人は、手を繋いで、真ん中あたりにいた。


「帰ってくるかな」「帰ってきて欲しいです」


そんな声は、ピズには聞こえなかった。











パリン!


今、【剣聖】のスキル玉を潰した。

そしたら、【???】のアビリティに、見切りが発現した。

そのほかにも、使えそうなスキル玉を潰していった。



♢♢♢


【ピズファ】 レベル: 28


【ヒューマン】


体力: 750

魔力: 780

筋力: 750

防御: 560

俊敏: 565

器用: 500

ポイント: 0


スキル:【生産】 【亜空間収納】

仮: 【剣聖】 【剣士】 【重剣士】 【体術】


派生: 【生産】

器用補正

高圧縮化

形補正

魔力消費軽減

分解

固定量産化


【亜空間収納】

容量補正+3

無血液破棄

合成血液

吸引


【???】

剣速上昇:2

クリティカル上昇

クリティカル時倍率2.4倍

投擲速度上昇:2

精霊契約(グラキエース: 大精霊,術適正:氷,水)

※契約時、契約開始時に魔力100要求,持続で血を1滴20秒要求

腰の紋章に魔力を込めることで召喚可能。

見切り(自分の剣域内の全てのものを把握する)


♢♢♢



使ったスキル玉は【剣聖】【剣士】【重剣士】【体術】だ。

【剣聖】で見切りがついて、【剣士】で、剣の扱い上昇で、【重剣士】で、打たれ強くなり、【体術】で、緊急回避を上昇させた。

準備は整った。


「行くか!」


走りながら準備をして、着くまでには整った。既に戦闘は始まっている。


「すまん!遅れた!」


「いや、いい、それより、前衛か?後衛か?」


声をかけたのは、受付嬢だ。後方支援組の手助けをしている。

今のスキルはバリバリ前衛。


「前衛だ」

「わかった、前線には、ギルマスが率いている。そこに混ざり、敵を蹴散らせ!

ゴブリンとオーク、オーガぐらいだ!行け行け行け!!」


頷き、向かった。前線は50メートル先だろうか。


『グギギギギ!』


前線から抜けてきたのか、小柄な、ゴブリンが、飛び出してきた。


「おっと!」


既に抜刀していた剣で、喉を斬った。


そのまま走り、数秒で前線についた。


「遅れた!」


「よし!少し離れるが、ここを死守しろ!!」


ピズの言葉なんて、聞こえなかったらしく、ギルマスが叫んだ。死守か。


あ、また、ゴブリンが出てきたので、斬り捨てた。


「おりゃ!」や、「くらえ!!」など聞こえてくる。


ピズは前線に混じり、戦闘をしている。レベルアップしたから、ゴブリンや、オークは、簡単に相手ができた。


「う!」


「大丈夫か!…じゃないな」


隣で、オークと戦っていた青年はオークの棍棒で殴られていた。


「おぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


青年の前まで飛び出して、2メートルある巨体の首を斬り飛ばした。


『ブォォォッ……』


絶命の叫び鳴き終えた。その声につられて、周りにいたオークや、ゴブリンが、ワラワラとやってきた。


「うう、ありがとな、もう大丈夫だ、見捨ててくれ」


そんな一言。青年は、頭から血を流している。そして、自分を見捨ててくれと。

周りにはもう、4体のゴブリンと3体のオーク。


「生きる意味って、考えたことあるか?」


「…今は、話の……」


ズチャ!


ゴブリンを斬りつけた。


「命はな、簡単に消えるんだよ」


「だから、君まで、死なれたら……」


ズチャ、


また。


「少しの出血…」


ズチャ、


「病気…」


ズチャ、


「3日間の無食…」


ズチャ、


「簡単に死ぬんだよ」


ズチャ、


「だから他人には迷惑はかけられないだろう!」

と青年が。


ズチャ、


「何言ってんだよ、人間はものすごく脆い。だからこそ、手を取り合って、生きようぜ!

前向いて歩こうよ!ほら、前向いて!」


そう、ピズが声をかけた頃には、周りの魔物たちは、肉片に変わっていた。

自分が捨てられた頃の悲しさ。きっとこの人が死んだ時、悲しむ誰かがいる。

死ぬ人は一瞬だ。でも、残されるのは一生だ。


「…え」


青年には、驚いただろう。1人で7体も相手をするなら、レアなスキルか、相当なレベル差が必要。それでも、数発の攻撃はやむを得ない。だが、【剣聖】と【体術】、【重剣士】がそれを耐え抜いた。

結果として、8回の攻撃の内、7回は避けたり、受け流したりできた。1回は完全に避けることができなかった。だが、重剣士スキルのおかげで、打たれずよくなったため、オークのパンチは、少し痛かったぐらいで済んだ。


「さぁ、立って、後ろに下がって、休憩して来い!」


また、仲間が殺されたことにより、ゴブリン、オーク、オーガまで周りに集まり始めている。青年を守るため、ここから、離れないで、しかも、青年に攻撃が向かないようにと戦っていては、この11体は流石に厳しい。早急に青年を後ろに引かせなくては。


「早く!!行け行け!!」


「あ、ありがと!!この恩はちゃんと返す!だから、死なないでくれ!!」


青年は立ち上がり、後ろへ退いていった。


「わかってるよ、悲しませたくないもんな」


そんな声はをここにはいない、院長の顔を思い出しながら、呟いた。


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