第12話 悪い人と良い人
ピズ達は簡単に町の中に入れた。
前の3人組の男達が、「戦ったあと、疲れて誰かが寝ている」と話したらしい。
そのおかげか、「2人ともゴブリンにさらわれた子です」と言ったらすんなりと通してくれた。
それから、一旦宿に戻ってきて、宿の食事があと2回残っているので、そこで2回分を一気に使い、プラス追加でちょっと食べた。
「2人とも、そこのスライムと仲良くまっててね、外出たらダメだよ」
「わかったー」「はいです!」
部屋に戻るなり、スライムがいた。食事はいらないらしい。そう、テイムの心得に書いてあった気がする。2人には、スライムはテイムモンスターと言って、仲良くするようにとも言った。
ピズはこれから、討伐ギルドに行く。
「じゃあ、討伐ギルドに入ってくるからまっててね」
「はーい」「わかったです!」
『プギイイイイイイイイ!』
「ちょ、なんだよ、そんなにすり寄って、」
いきなりスライムが叫び出し、足元にすり寄ってきた。
「お前、大きくなった?」
そう。前は、拳ぐらいの大きさだったが、今は2回り大きくなっていた。
『プギイ』
「そうか、よかったな、さて行くか」
そしてピズは宿を出ようとした。が、
コロン、コロン、コロン、コロン、
スライムの体から、核が出てきた。
「お前、これって!核か!?核なのか!?よくやったぞ!本当によくやった!」
普通はスライムの核ごときで喚くものではないが、今は違う。【生産】があるからだ。
これさえあれば、いろんなことができる。そして、強くなれる。ピズにとっては、喉の奥から欲しいものだ。
『プギ』
「そうか、ありがたくもらうよ、じゃあ行くからじゃあね」
「行ってらっしゃーい!」「バイバイです」
2人に見送られ、そして、スライムの核をこれから、無限のようにゲットできることに対しての心の高まりで、少し、早歩きになり、討伐ギルドへ向かった。
♢
「俺たちゃ、ゴブリン供を20体殺したゼェェェェェ!!!」
「よっ!初心者脱退!!」「すごーい!!」「マジか、」
など最初の雄叫びによって、生まれた言葉だった。ピズが討伐ギルドに入るなり、助けに来てくれたであろう、3人の男達が、そんなことを口走っていた。そして、真ん中の男以外の2人の手の中には、金が入っているだろう、袋があった。
「お前達!先に中堅に行っちゃうぞぉぉぉ!!!」
「「「おおおおおお!!!!!」」」
また雄叫びが広がった。そしてギルド職員も、微笑みを浮かべている。
ピズはそこの間をコソコソと抜け出して、ギルド職員のところまできた。
「あの、ギルド登録したいのですが」
「あら、前きた方ですよね、えっと、【生産】の」
「はい、そうです、登録しにきました」
「ですが、ここは討伐ギルドですよ?あなた、討伐できるんですか?」
やはりこうなった。でも今回は違う。今回は、ここのギルドマスターと話す。そして、ギルドに入る。これでいけるはず。
「できます!ギルドマスターと話させてくれませんか?」
「無理に決まってるじゃないすかー、ギルマスと話せるのは、もっと強くなるか、成績を上げる時に、格上げ時にしか会えませーん」
急に口調が変わり出した。なんだろう。とっても殴りたい。
「じゃあ、もし、あそこの馬鹿供の功績が横取りだとしたらどうする?」
「そんなことあるわけないじゃないですかー、だって、ゴブリンの嫁になった更生不可能な、ゴミを丁寧にに持って帰ってきたんですからー、それは正しく、ゴブリンを討伐したってことですよ」
なんだそれは。そんなことで、俺の功績がなくなるのか。嘘だー!となると思ったか?
「じゃあ、これは何ですか?」
【亜空間収納】から精霊魔法の氷が深々と刺さった、ゴブリン丸々の死体を取り出した。
ドチャリ、この音で周りの騒がしい音が一斉に消えた。
「えっ、こ、これは、どういった人形でしょうか」
「人形だと思うか?この匂いを嗅いでも?」
「ま、マスターを呼んできます!お待ちを!」
【亜空間収納】容量がまた大きくなっていた。なので、23体のゴブリン供を丸々収納できた。いや、本当に役立っているよ。
「おい、あれって、氷か?クリスタルか?どっちにしても解けないってことは精霊魔法か?」
誰が言ったことだろう。確かにそうだな。精霊魔法は基本、無くなったりしないのだった。
魔法使い系の使った魔法は、使い終わった魔法は蒸発していく。
これが精霊魔法と普通の魔法の違いだ。
「お、おまたせしました!」
「やぁ、君かい?呼んだのは。いやー、悪かった。儂の部下が無礼を起こした、すまない。この通りだ」
体の締まった、イケボイスが耳を通り、それを発した張本人は、深々と頭を下げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます