第12話 悪い人と良い人

ピズ達は簡単に町の中に入れた。

前の3人組の男達が、「戦ったあと、疲れて誰かが寝ている」と話したらしい。

そのおかげか、「2人ともゴブリンにさらわれた子です」と言ったらすんなりと通してくれた。

それから、一旦宿に戻ってきて、宿の食事があと2回残っているので、そこで2回分を一気に使い、プラス追加でちょっと食べた。


「2人とも、そこのスライムと仲良くまっててね、外出たらダメだよ」


「わかったー」「はいです!」


部屋に戻るなり、スライムがいた。食事はいらないらしい。そう、テイムの心得に書いてあった気がする。2人には、スライムはテイムモンスターと言って、仲良くするようにとも言った。

ピズはこれから、討伐ギルドに行く。


「じゃあ、討伐ギルドに入ってくるからまっててね」


「はーい」「わかったです!」


『プギイイイイイイイイ!』


「ちょ、なんだよ、そんなにすり寄って、」


いきなりスライムが叫び出し、足元にすり寄ってきた。


「お前、大きくなった?」


そう。前は、拳ぐらいの大きさだったが、今は2回り大きくなっていた。


『プギイ』


「そうか、よかったな、さて行くか」


そしてピズは宿を出ようとした。が、

コロン、コロン、コロン、コロン、

スライムの体から、核が出てきた。


「お前、これって!核か!?核なのか!?よくやったぞ!本当によくやった!」


普通はスライムの核ごときで喚くものではないが、今は違う。【生産】があるからだ。

これさえあれば、いろんなことができる。そして、強くなれる。ピズにとっては、喉の奥から欲しいものだ。


『プギ』


「そうか、ありがたくもらうよ、じゃあ行くからじゃあね」


「行ってらっしゃーい!」「バイバイです」


2人に見送られ、そして、スライムの核をこれから、無限のようにゲットできることに対しての心の高まりで、少し、早歩きになり、討伐ギルドへ向かった。







「俺たちゃ、ゴブリン供を20体殺したゼェェェェェ!!!」


「よっ!初心者脱退!!」「すごーい!!」「マジか、」


など最初の雄叫びによって、生まれた言葉だった。ピズが討伐ギルドに入るなり、助けに来てくれたであろう、3人の男達が、そんなことを口走っていた。そして、真ん中の男以外の2人の手の中には、金が入っているだろう、袋があった。


「お前達!先に中堅に行っちゃうぞぉぉぉ!!!」


「「「おおおおおお!!!!!」」」


また雄叫びが広がった。そしてギルド職員も、微笑みを浮かべている。

ピズはそこの間をコソコソと抜け出して、ギルド職員のところまできた。


「あの、ギルド登録したいのですが」


「あら、前きた方ですよね、えっと、【生産】の」


「はい、そうです、登録しにきました」


「ですが、ここは討伐ギルドですよ?あなた、討伐できるんですか?」


やはりこうなった。でも今回は違う。今回は、ここのギルドマスターと話す。そして、ギルドに入る。これでいけるはず。


「できます!ギルドマスターと話させてくれませんか?」


「無理に決まってるじゃないすかー、ギルマスと話せるのは、もっと強くなるか、成績を上げる時に、格上げ時にしか会えませーん」


急に口調が変わり出した。なんだろう。とっても殴りたい。


「じゃあ、もし、あそこの馬鹿供の功績が横取りだとしたらどうする?」


「そんなことあるわけないじゃないですかー、だって、ゴブリンの嫁になった更生不可能な、ゴミを丁寧にに持って帰ってきたんですからー、それは正しく、ゴブリンを討伐したってことですよ」


なんだそれは。そんなことで、俺の功績がなくなるのか。嘘だー!となると思ったか?


「じゃあ、これは何ですか?」


【亜空間収納】から精霊魔法の氷が深々と刺さった、ゴブリン丸々の死体を取り出した。


ドチャリ、この音で周りの騒がしい音が一斉に消えた。


「えっ、こ、これは、どういった人形でしょうか」


「人形だと思うか?この匂いを嗅いでも?」


「ま、マスターを呼んできます!お待ちを!」


【亜空間収納】容量がまた大きくなっていた。なので、23体のゴブリン供を丸々収納できた。いや、本当に役立っているよ。


「おい、あれって、氷か?クリスタルか?どっちにしても解けないってことは精霊魔法か?」


誰が言ったことだろう。確かにそうだな。精霊魔法は基本、無くなったりしないのだった。

魔法使い系の使った魔法は、使い終わった魔法は蒸発していく。

これが精霊魔法と普通の魔法の違いだ。


「お、おまたせしました!」


「やぁ、君かい?呼んだのは。いやー、悪かった。儂の部下が無礼を起こした、すまない。この通りだ」


体の締まった、イケボイスが耳を通り、それを発した張本人は、深々と頭を下げた。

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