第6話 街

門をくぐり、街の中に入った。

レンガで作られた火事や、災害に強い街並みだ。

周りには沢山の屋台が並んでいる。これらは貿易をしに来た者たちに向けて売っていたり、ちょっとした収入になるからとかだろう。


「よし、最初は貿易所に行くか」


貿易所。そこはどこの街にもあるが、この街は大きい方らしい。と言ってもこの街は貿易で発展した街だ。


「確か、中央区だったな」


この情報も、鍛冶屋のガルダンに聞いたものだ。ガルダンはこの街から大量の鉄を仕入れているらしい。そしてピズが行く理由も鉄花や針を一緒に送るからだ。


「屋台で何か食おうかな」


そう言いながら、ピズは串肉にかぶりつきながら、貿易所に目指したのであった。






「はい、それで合ってます」


「わかりました、2日までに取り消しが可能ですので、またのお越しをお待ちしています」


貿易所で鉄花10個、針10個をガルダンのところへ送ることにした。お金は冒険者カードに自動で振り込みされることになっている。


「さて、今日の目標は達成したし、砂鉄でも集めるかな」


そうして、再び、街を出た。








「ふぅ、こんなもんか」


ここの地面は砂鉄が大量だった。ゆえに、いつもの3倍近く取ってしまった。

一応【亜空間収納】に炉があるので、焼けないこともないが、時間がかかるので後回しにでもいいだろうと考え、立ち上がった。


「プググググ、」


「はっ!」


ピズは砂鉄集めに夢中になっていて、スライム特有のポヨン、ポヨンとする音を聞き逃していた。幸い、まだ襲ってはこないが、ピズはすでに臨時戦闘態勢に入っている。

武器は、片手直剣だ。これはガルダンに旅立ち祝いでもらったものだ。


「ピ、ピュグググ…」


「あれ、」


もう襲ってきてもおかしくない。むしろなぜ襲ってこない。しかもスライム自体とても小さく、既にスライムの核が透けて見える。スライム全体の大きさは成人男性の拳ぐらいだろうか、いつもは、腕で抱えるぐらいにでかいのに。


「ピュブブ、」


何故だかとっても可愛く見えてきた。こんな時に【鑑定眼】が欲しくなる。


「これは、テイムしてるのか?」


そう、この世界、テイムがある。スキル【調教】などなくてもできないことはないが、可能性がとても低い。【調教】があればテイムゲージがあり、目視できるが、今そんなスキル持っていないので、わからない。とりあえず、さっき食べていた、串肉の串をあげといた。


「ほら、これやるよ」


「ピュギュギュ、」


スライムに入れた串はゆっくりと溶け始めている。今殺して、素材と経験値にしてもいいが、今はとても腹が減っている。なので見逃すことにした。


「じゃあな、たくさん分裂して足しになれよ」


見逃すことで分裂を期待し、いつか会うかもしれない分裂したスライムを狩ろうと思い、今は見逃す。


「さて街に行って飯だ!」


剣を背中に戻し、街に戻り始めた。










が、その後ずっと付いてきた。


「おい、せっかく見逃したのに、付いてくるなよ」


「プググググ、」


このちっこいスライムはずっと後ろからついてきていた。

気がついたのは、5分くらい歩いた頃だろうか。

ポヨン、ポヨンと音をがするのです振り返るとそこにいた。


「さっさと帰れ」


「プユユ、」


弱い音が出た。悲しんでるのだろうか。

ピズの頭の中では、本当にテイムをしてしまったのか?や、襲いにきたのか?など考える。


「ピュギュギュ!」


考えても仕方ないので、撫でて確かめることにした。

すると撫でるとスライムの中に手が入ることもなく、スベスベなスライムボディーを堪能した。


結論、テイム済みになっていた。








とりあえず、スライムは服の中に隠れてもらっている。

お金も限りがあるので、獣舎などでスライムを置くお金がもったいない。

ってことで隠れてもらっている。


「2泊食事2付きでお願いします」


「あい!ここから突き当たり、右でありゅ!代金は、600メルでありゅ!」


「あ、これで、」


しっかりと代金を払い、鍵ももらった。現在の所持金は255,050メルだ


「食事に行くか」


そう言いながら、宿を出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る