第6話 街
門をくぐり、街の中に入った。
レンガで作られた火事や、災害に強い街並みだ。
周りには沢山の屋台が並んでいる。これらは貿易をしに来た者たちに向けて売っていたり、ちょっとした収入になるからとかだろう。
「よし、最初は貿易所に行くか」
貿易所。そこはどこの街にもあるが、この街は大きい方らしい。と言ってもこの街は貿易で発展した街だ。
「確か、中央区だったな」
この情報も、鍛冶屋のガルダンに聞いたものだ。ガルダンはこの街から大量の鉄を仕入れているらしい。そしてピズが行く理由も鉄花や針を一緒に送るからだ。
「屋台で何か食おうかな」
そう言いながら、ピズは串肉にかぶりつきながら、貿易所に目指したのであった。
♢
「はい、それで合ってます」
「わかりました、2日までに取り消しが可能ですので、またのお越しをお待ちしています」
貿易所で鉄花10個、針10個をガルダンのところへ送ることにした。お金は冒険者カードに自動で振り込みされることになっている。
「さて、今日の目標は達成したし、砂鉄でも集めるかな」
そうして、再び、街を出た。
♢
「ふぅ、こんなもんか」
ここの地面は砂鉄が大量だった。ゆえに、いつもの3倍近く取ってしまった。
一応【亜空間収納】に炉があるので、焼けないこともないが、時間がかかるので後回しにでもいいだろうと考え、立ち上がった。
「プググググ、」
「はっ!」
ピズは砂鉄集めに夢中になっていて、スライム特有のポヨン、ポヨンとする音を聞き逃していた。幸い、まだ襲ってはこないが、ピズはすでに臨時戦闘態勢に入っている。
武器は、片手直剣だ。これはガルダンに旅立ち祝いでもらったものだ。
「ピ、ピュグググ…」
「あれ、」
もう襲ってきてもおかしくない。むしろなぜ襲ってこない。しかもスライム自体とても小さく、既にスライムの核が透けて見える。スライム全体の大きさは成人男性の拳ぐらいだろうか、いつもは、腕で抱えるぐらいにでかいのに。
「ピュブブ、」
何故だかとっても可愛く見えてきた。こんな時に【鑑定眼】が欲しくなる。
「これは、テイムしてるのか?」
そう、この世界、テイムがある。スキル【調教】などなくてもできないことはないが、可能性がとても低い。【調教】があればテイムゲージがあり、目視できるが、今そんなスキル持っていないので、わからない。とりあえず、さっき食べていた、串肉の串をあげといた。
「ほら、これやるよ」
「ピュギュギュ、」
スライムに入れた串はゆっくりと溶け始めている。今殺して、素材と経験値にしてもいいが、今はとても腹が減っている。なので見逃すことにした。
「じゃあな、たくさん分裂して足しになれよ」
見逃すことで分裂を期待し、いつか会うかもしれない分裂したスライムを狩ろうと思い、今は見逃す。
「さて街に行って飯だ!」
剣を背中に戻し、街に戻り始めた。
が、その後ずっと付いてきた。
「おい、せっかく見逃したのに、付いてくるなよ」
「プググググ、」
このちっこいスライムはずっと後ろからついてきていた。
気がついたのは、5分くらい歩いた頃だろうか。
ポヨン、ポヨンと音をがするのです振り返るとそこにいた。
「さっさと帰れ」
「プユユ、」
弱い音が出た。悲しんでるのだろうか。
ピズの頭の中では、本当にテイムをしてしまったのか?や、襲いにきたのか?など考える。
「ピュギュギュ!」
考えても仕方ないので、撫でて確かめることにした。
すると撫でるとスライムの中に手が入ることもなく、スベスベなスライムボディーを堪能した。
結論、テイム済みになっていた。
♢
とりあえず、スライムは服の中に隠れてもらっている。
お金も限りがあるので、獣舎などでスライムを置くお金がもったいない。
ってことで隠れてもらっている。
「2泊食事2付きでお願いします」
「あい!ここから突き当たり、右でありゅ!代金は、600メルでありゅ!」
「あ、これで、」
しっかりと代金を払い、鍵ももらった。現在の所持金は255,050メルだ
「食事に行くか」
そう言いながら、宿を出て行った。
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