第3話 3年経過

孤児院に入ってから3年が経った。

未だに酒場をやっているし、石加工もしている。

しかし、最近は、15歳の成人と共に冒険の旅に出ることにしたので、その事に向かって資金確保も始めていた。


「あ、院長。これ、バイト代です」


「あれ、ピズ毎日ありがとねほんとに助かってるから」


「いいよ、院長もいつも頑張ってるし。」


「優しいね、冒険の旅に出るんだっけ、ちゃんとお金貯めてる?」


「はい、貯めてます。では、僕はいつものに行ってきます。」


「はい、行ってらっしゃい!」


院長はいつも如何なる時も優しかった。酒場でお皿を落として給料が減っても、怒らなかった。院長は、常に孤児院にいるから稼ぎがない。だからこうして、僕や、10歳以上の人が、バイトをしてそのお金を孤児院のみんなのご飯になっている。今から街外れの湿地帯にきている。理由はそこからは、砂鉄と言うものがたくさんとれるからだ。

毎回500グラムぐらいの量の砂鉄が取れる。


「さて、今日はこのぐらいでいいかな」


ピズファは【亜空間収納】の裂け目の中に湿地帯の泥を入れ終わった頃だった。

このスキルは魔力消費がなく、発動したいと思うだけで自分の体から1メートル以内ならどこでも裂け目を作ることができる。今日もいつものように裂け目の中に泥を入れ、おっちゃんのところで、サラサラになるまで天気干しをし、そこから砂鉄を取り出して、3ヶ月かけて作った炉に入れ、鉄を作ることをして今度は制作、そして日課は終わりだ。

酒場の給料は孤児院に渡しているが、この商売で手に入ったお金は、冒険の旅に使う事にしている。今の貯金は69,000メルも溜まっていた。もではないか。


「おっちゃん、ただいま、もう乾いてる?」


「おー、やっと帰ってきたかピズ、もう乾いてるぞ、あと、鉄花2枚と針3つ売れたぞ」


「そうか、わかった作っとく」


鉄花は前に言った通り、鉄で作った花型の【投擲】スキルに使う飛び道具だ。そして、針とは円錐の形の飛び道具だ。これはスピード、精密性を重視した鉄花の改良版だ。

これは威力は鉄花に劣るものの、精密性が凌駕するのでよく売れる。冒険者たちは先に毒などを塗って仕留める事があるとかないとか。

3ヶ月かけて作った炉が火を吹き始めた。

砂鉄を入れ、ゆっくりと溶けていく。

炉の溶けた鉄が入るところの穴から鉄を出す。

最初は不純物が出てきて、少し、流れが変わると、鉄が出る。

厚さ3センチほどの型に正方形に鉄を流していく。そして冷めたら裂け目に入れ、生産していく。これがピズの日課だ。

今日の報酬は鉄花が500メルで針が550メルだ。

よって、2,650メルだ。合計で71,650メルになった。

さて、帰るか。


「おっちゃん!もう終わったから帰るわ」


「もう帰っちまうのか、そっか、じゃあな」


「おう、また明日なおっちゃん」


もう夕方が終わりそうだ。夜ご飯の時間だ。早く帰ろう。







孤児院では、1番幼い子で1歳も行っていない。両親が冒険者でもういないなど、よくある話らしい。この孤児院では何歳でもいてもいいが、毎月にお金を何メルでもいいから寄付というのが義務になっている。15歳まではタダだが。今は、47人もこの孤児院にはいる。

ピズが稼いで、寄付している金額は10,000メル。1週間分にもなっていない。だが10歳超えたあたりからちょっとした稼ぎはしている。それでなんとか過ごしている。


「みんな体拭いた?」


「いんちょー拭いたー」「おれ、いちっばーん!」「院長せんせい拭いたよ」


などごちゃごちゃしている。今は布で体を拭く時間だ。布で体を拭き終わったら、寝る時間。朝は、一日一回だけの鐘が鳴る。それでみんな起きる。


「はーい、みんな布団入ったかなー?」


「おい、入ってくんなよー」「狭い、あっち行け」「入ったよー」


雑魚寝である。もう慣れた。親と過ごした時はどうだったか。…やめよう。気分が悪くなる。

おれは今庭にいる。

理由は【生産】のスキルに新しい生産科目ができたからだ。レベルは3になったからだろうか。【生産】からの派生のアビリティと生産できる物が増えた。嬉しい事だ。今のステータスはこんなになった。



♢♢♢


【ピズファ】 レベル: 6


【ヒューマン】


体力: 30

魔力: 40

筋力: 20

防御: 20

俊敏: 25

器用:40

ポイント21


スキル:【生産3】 【亜空間収納2】


派生: 【生産】

器用補正

高圧縮化

【亜空間収納】

容量補正




♢♢♢



今日レベルが6になった。そしてポイントはレベル6から振れるようになる。なので今振る事にする。器用と魔力重視で筋力も少し上げておこう。


♢♢♢


【ピズファ】 レベル: 6


【ヒューマン】


体力: 60

魔力: 150

筋力: 50

防御: 40

俊敏: 35

器用:70

ポイント: 0


スキル:【生産3】 【亜空間収納2】


派生: 【生産】

器用補正

高圧縮化

形補正

魔力消費軽減


【亜空間収納】

容量補正



♢♢♢


どうしても魔力を150にしたかった。その理由は【生産】で、できるようになった生産が高圧縮そのアビリティで新しく出たスキルボードが炭鉱石圧縮だった。今まで元々鉄を作り始めてから出てきてはいたものの、ガスや炭鉱石の集めはできたものの、魔力要求値が150だった。なのでこれを期に今作ってみようと思う。

さぁ、やろうか。

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