3-1

『あーそのーなんだ。取り敢えずまぁー。』


引っ込みの付かない雰囲気に居心地悪く肩を竦めた金眼の彼は、ゴホンと咳払いをする事で仕切り直した。


『見つかって良かったよマジで。』


『ええ、血眼になって探しましたからね!』


赤の少女は相変わらずキャラキャラと笑う。彼の右肩をトンと音を立て蹴り飛び上がると、ベットに横たわる彼女の眼前に浮いたまま静止した。その隣に青の少年と紫の少女が並ぶ。


『傷、痛かったでしょう。』


『痛いの怖い、嫌。』


傷だらけの彼女を間近で見て、予想以上だったらしい。思ったよりも深い傷を確認する度に青の少年は悲痛な面持ちで呟き、紫の少女は両手で顔を覆い羽を震わせた。


『キャラキャラ、これも発見が遅くなった主のせいよね!』


しかし赤の少女は歯を見せて笑う。文字通り三者三様で、コロコロと表情が変わる妖精達は見ていて飽きない。可愛いなと思い始めた彼女は例外では無く、クレアもいつのまにかベッドの側まで寄り、小さな妖精達を見守っていた。



『…いいから、ほら治すぞ。』


当初は格好良く登場する手筈だったのに、と金眼の彼は肩を竦めた。自身の失態が原因だが、失敗もいいところ。大失敗だ。


『ったく、ダメだな焦ったら。こんな事なら……』


次に何かを言い掛けそうになってはたと口を噤む。またも失態を重ねそうになっていた事に気付き、再度咳払いをしてこの場を無理矢理仕切り直した。



『目を閉じな。大丈夫、悪いようにはしない。』


そう言って右手を彼女の額に当てる。ヒヤリとした感触に彼女は思わず瞳を細めた。「何か」をされる事に対する不安も勿論あるが、今の状況に混乱してしまう。


距離が近い。

まるで彫刻かと疑う程、整った顔立ちに金眼。それが迫って来て至近距離にあるのだ。何もかも見透かされているようで落ち着かない。


『ん?どうした?』


おまけに頰に左手を添えられて淡く微笑まれる。若草色の癖毛がフワリと鼻先を掠めた瞬間、両目を閉じる事になった。


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