2-3
クロードの手から、仄かに光が漏れる。
—————と、同時だった。
突風。
突如現れたそれは、唸り声を上げてどんどん大きくなる。さらに渦を巻き、窓も開けていない部屋の中で竜巻が起こった。クロードを吹き飛ばし、周辺の家具を粉砕していく。
「誰の仕業だ!」
壁に背を打ち付けたクロードは片目を瞑り痛みに耐えると、直ぐ様体制を整えた。ぐるりと辺りを見渡す。
しかし、人影は無い。
その間も強力な竜巻は止まる気配を知らず力を増していく。レオは剣を抜き、ロドフは目の色を変え、ロイはゆっくりと腰を屈めた。フェンは血の気を失いその場に倒れている。クレアは気丈に立っているが、震えていた。
風の音は止まない。彼女は機能しているのかわからない全神経を研ぎ澄ませてみる。
——————クスクス、キャラキャラ、ケタケタ——————
…微かに場違いな笑い声が聞こえる。
本当に可笑しそうに、彼等を見下した笑い声。
「ねぇ、何の真似?
僕達を前にして相手になるとでも思ってるわけ?」
苛立ちを隠さず、ロドフは姿なき誰かに語りかけた。こめかみに薄っすらと青筋が見える。
一層強くなった笑い声。
レオも眉を吊り上げ、柄を握る手に力を込めた。
「悪戯にしては少々やり過ぎでは?」
『はっ、バッカじゃねぇの。』
堪らず発した、様に聞こえた…気がする。その後、『やべ』と発する辺り、やはり自身の失態に気付いたらしい。
微かな笑い声もピタリと止んでいる。いや、息を飲んでいると言ったところか。
眉間に皺寄せたクロードは、聞こえた声の辺り…フェンの側に近寄った。レオ、ロドフ、ロイもそれに続く。
形なき何かの気配は察せられたのに慌てたのか、もしくは力の差を見せつけたかったのか、風を起こす。ぶわりとその何かを中心に起こった風は、4人の彼等を簡単に吹き飛ばした。
そして気配は移動する—————彼女の横に。
『やっと……見つけた。』
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