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視線を彷徨わせて行き着いた先はクレアだった。一応クロードとレオにも視線を合わせてみたが、クロードは顔をしかめて視線を大きく逸らし、レオには悩殺スマイルを向けられた。

仕方なくと言うより寧ろ初めからクレアに頼れば良かったと後悔する。


そしてそんな訳でクレアを見つめていた。自分は何故大怪我を負い、このように保護された状況でいるのか。何故助けてくれたのか。先ずはそこから問いたい。

伝わってくれと、また汲み取ってくれと言うのは虫が良すぎるだろうが伝える手段が視線だけなのでどうしようもない。


けれどクレアはわかってくれたようだった。大きく頷くと、にっこりと微笑んでくれる。


「ごめんなさいねえ、本当に騒がしくて。」


一瞬だけ、彼等にグルリと視線を向けた。途端に騒がしかった彼等は一変、全員押し黙る。マントに包まれて見えない筈のフェンでさえ、ピクリと反応する程だ。それ程、クレアの視線は冷たかった。


「学園領にある神殿にね、突然、貴方が現れたの。しかも瀕死の状態でね。」


当時の状況を思い出したのか、クレアの顔色が悪くなる。小刻みに震え出した彼女を気遣い、レオが続けた。


「貴方を最初に見つけたのはこの場に居る私とロドフ、ロイ、フェン、クロードの5人です。


その日は丁度、野外授業の準備の為に例の神殿へと赴いていたのですが…。

急に視界が明るくなり見上げると、貴方が空から落ちて来るのが見えたのです。」


「キャッチしたのは僕だよ!もうびっくりしたんだからあ!

全身大怪我で血だらけ。服もボロボロでさあ!」


ロイは手を挙げてぴょんぴょんと飛び跳ねた。それも直ぐにクレアに一瞥され収まったが。


「そうだねぇ。怪我さえ無ければとってもセクシーだったんだけど。」


緊迫した雰囲気とは程遠い声色。尚もうっとりと見つめてくるロドフは、今度は遠くを見るように目を細めた。

もしかして不可抗力だったとはいえ、中々際どい格好をしていたのだろうか。

何となく恥ずかしくなって目を伏せると、吹き出された。


「ふ、何その反応?可愛い。」


耳元で囁かれては堪らない。何故か身の危険を感じて両目をギュッと固く閉じると、その行為は更に彼の嗜虐心(しぎゃくしん)を煽っただけだった。

彼は愉快そうに微笑み、身を乗り出してくる……が、クロードによって阻止された。


「おい。」


クロードはロドフの肩を掴むと、指に力を込めた。肩に食い込みとても、いや、かなり痛そうだ。

心なしか、ルビーの瞳が変色したような気がする。


「イタタ、痛いよクロード。そんなに怒らなくてもいいだろう?」

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