第5話 少年は会話を楽しむ-下-
少し虚しくなった気分を変えるためにヒロは脱線していた話を戻す。
「そう言えば俺の戦闘スタイルについてだったよな」
「そうだっけ?」
「……お前が聞いてきたんだったよな?」
「ごめんって。で、どんな戦闘スタイルなの?」
「はぁー、まぁいいか。俺の戦闘スタイルは大雑把には基本的には接近戦を主体にしてはいるものの臨機応変に対応するオールラウンダー、かな」
「なんだ私と大して変わらないじゃん。というか、そんな軽装備で接近戦とか大丈夫?」
ヒカリは意地悪な笑みを浮かべ、先程の意趣返しと言わんばかりに聞いてくるがヒロに言わせれば問題はない。
「別に。この革コートはそれなりの強度があるし、ポーチにはそれなりに詰め込んであるからあまり問題はない」
「へぇ」
ヒロは自身のコートと腰に装着したポーチを指さしながら答える。
ヒカリは納得したような表情浮かべたがすぐに次の質問を繰り出す。
「じゃあなんでそういう戦闘スタイルになったの?オールラウンダーなんて辛そうじゃん。まぁ、私の場合は異能力的にそれが一番だと思ったからだけど」
「俺の場合は必然的にこうなった」
「というと?」
「俺はずっと一人で活動してきたからな。そしたらこんなふうになっていた」
「ぼっち乙(笑)」
「うるせぇ、ぼっち言うな」
ヒロはすぐさま反論する。一人は全くもって嫌いではないが、ぼっちだと思われたくはないのだ。
だがヒカリは気にせず話を進める。
「けど一人で冒険者としてやっていくなんて大変だよねー」
「そんなことないが……」
「いや、あると思うよ。気が付いてないだけで。私なら無理かな。ハードそうだし。ハードなSMプレイならともかく」
「いやぁ、それは無いなー。そっちの方が無いなー」
そこはすぐに否定しなければならない。ここまで堂々と言われるとそれが普通という風に少し思ってしまいそうになるが、それはきっと世間一般ではないはずだから。多分!
「いやいや、SMは楽しいよ。ヒロもSに目覚めればわかるって。そして私を弄んで!」
「底抜けの変態かよ。そんな感じだと経験も豊富なのか?」
「んな事ないよぅ〜。私はまだ処女だよ!」
ヒカリは豊かな胸を張って威張りながらに言う。
「……それは威張る様なことなのか?」
「そう言うヒロは童貞じゃないの?」
「…………………………童貞、です」
「ブフッ。ヒロも人のこと言えないじゃん」
「うるせぇ」
ヒロ達はそんな他愛のない話を楽しみながら目的地に向け歩を進める。
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