第1話 異世界転移

第0話冒頭から10分前に遡る……


兄:「おい妹よ、このアニメはとても面白いぞ。さあ、見てみろ。」

また始まった。今日だけですでに3回目だよ。もう流石にうんざり。

兄:「どうした妹よ、さあこの兄と一緒に見ようじゃないか。」

うざい。もし魔法が使えるなら今すぐに兄を完全に消し去りたい。


何故だ?せっかく妹の好きそうなアニメを探してきたのに、当の妹には見向きすらされない。まさか、

兄:「お、俺と一緒に居たくないのか??」

いや、まさかそんなことが…

妹:「当たり前じゃん、お兄ちゃんと一緒なんてめちゃくちゃやだよ。」

…っ!?今、妹はなんて言った?俺と一緒はやだ?まさか、そんなことが。


こんなやりとりをしていたとある昼下がり。俺達の過ごしていた生活は突如終わりを迎える。

突然床に俗に言う魔方陣のような模様が浮かび上がる。それは光を発して行斗と優衣の体を包み込んでいく。

妹:「何これーー??!」

兄:「これはまさか異世界召喚ってやつか!」

妹:「異世界召喚?!何それ?」

兄:「とりあえず身を任せろ!」

妹:「はーーーーー?!」

こうして2人の体は魔方陣の中へと吸い込まれていく。

眩しさのあまり目を閉じた。次目を開けるとそこには、真っ白な空間が広がっていた。なにもない。ただひたすらになにもない。いや、このなにもない空間に1人の男性とも女性とも言える人物が立っていた。

???:「この度は我々の問題巻き込んでしまい本当に申し訳ない。お詫びと言ってはなんだが次の世界での職業ぐらいは自由に選んでくれ。」

いきなりそんなことを言われて理解が追い付く人は、70億人の人口の中でも指を折る程度だろう。しかし、この俺高宮行斗は理解できる。つまりあれだ、召喚ではなく転移ってやつか。妹の方はなにやら遠くを眺めているがいずれ戻ってくるだろう。

兄:「そんなことを言うってことは、たぶん神様かなんかだろう?そんなことより職業を選ぶとはどういうことだ?」

神:「そう我こそが神……ってはぁ?!何でそんな早く理解できるの?普通「え、なにここ、どこなの、さっきまで家に居たのに?」とか言うところでしょ?何でそんな落ち着いて「神かなんかだろう?」って考察できるわけ?!」

なにやら神(仮)がほざいているが華麗にスルーしとこう。そんなことよりやっと妹の理解が追い付いたらしく、

妹:「え、なにここ、どこなの、さっきまで家に居たのに!?」

と、まるでさっきの神(仮)の言葉を聞いていたかのように一字一句違わず同じ驚きをした。これがデジャブというやつか。

神:「妹ちゃん、期待どうりの反応ありがとう!そこのお兄ちゃんはつまらない反応しかしなかったんだよねー。それに比べて、今の反応とても良かったよ!妹ちゃん大好き。」

喋り方からして女なのだろう。妹と意気投合したらしい。その証拠として……

妹:「私の兄、やばくないですか?」

神:「分かる、あいつ今まで神やってて1番嫌なタイプだわー!」

等と、とても胸が苦しくなる会話をしている。と、そんなことより早く職業について聞かないと。

俺:「おい神とやら、早く職業について聞かせろ。あと、俺らが行く世界についてもだ。早くしろ。」

神:「はいはいわかりましたよ。てゆうかー仮にも神様なんだから、様付けor敬語ぐらいしなさいよ!」

兄:「そんなどうでもいいことはさておき、さっさと教えろと言っているだろう」

神:「どうでもよくないけど、もうめんどくさいからちゃっちゃと教えてあげるから。じゃあまずはこの世界について……」


兄:「なるほど、だいたい分かった」

神が言っていたことをまとめると以下のとうりだ。

1、世界の名はアルムという。

2、この世界には魔法がある。

3、称号が力をもつ。

4、俺達は人間に勇者として召喚されるところだったが召喚の失敗でアルムにたどり着けなかったところを神が拾いアルムに届けてくれるらしい。

5、勝手に召喚して失敗してしまったお詫びにアルムでの職業を選んで欲しい。

おおまかにこの5つだ。ちなみに職業はすでに決まっている。妹に聞いたところ、妹も決まっているらしい。ここで0話の最初につながる。

兄:「俺がなりたい職業は魔王だ!」

妹:「私のなりたい職業は勇者です!」

神:「え?……魔王??勇者じゃなくて、魔王?なんで???」

兄:「なりたいからに決まっているだろう。それとも職業を選ぶとは名ばかりで本当は自由にえらべないのか?」

神:「いやそんなことはないけどさ、魔王になりたいなんて前代未聞だよ。けど、君相手だとなんか不思議と納得してしまう。」

妹:「もしかして、職業的に兄を倒せなんて無いですよね?」

神:「そんなのは無いんで大丈夫ですよ。あなた達はこちらの都合でこちらへ来させてしまったのでそこら辺は気にせず自由に暮らして下さい。」

こうして、魔王こと高宮行斗と勇者こと高宮優衣の冒険が今始まる。

神:「それではアルムで楽しく自由に暮らして下さい。いってらっしゃい!」

兄:「おいちょっとまて!まだ聞きたいことが山ほど…」

そこでアルムに飛ばされてしまった。あのくそ神。次あったら絶対しばく。そう心に決めた行斗であった。


気がつくとなにもない草原に立っていた。近くに木が1本でかでかとある。と、そんなことより、異世界と言ったらやはりアレだ。

兄:「ステータスオープン!」

……なにもおこらない。何故だ?異世界と言ったら普通ステータスが見れるはずなのに。こんなことを考えていると妹からの視線がチクチク刺さる。

妹:「お兄ちゃん何してるの?いきなりステータスオープンってちょっと引くよ。」

悲しい。せっかく勇気をもって言ったのに得たのは妹からの冷たく哀れむような目だけ。神に次あったらしばくと決めていたがそれだけじゃ足りない。小1時間拷問してやる。そんなことを考えていたら、

???:「名前高宮行斗、年齢18歳、レベルl1、職業魔王、称号〜神に選ばれし魔王〜能力(鑑定、全ステータスup、状態異常無効、魔法適正,火,水,風,土,闇,時、言語理解:全種族、魔法作成、称号授与、配下創造、魔法同時複数展開、魔法効率up、消費魔力削減、魔法威力up)、です。」

兄:「うぉっっ?!え?は?」

流石の俺もビックリした。いきなり大声をあげたせいで妹もビックリしている。なんなんだこれは?というかこの声は誰だ?

???:「あなた様のステータスです。そして私は俗に言う精霊というやつです。」

兄:「なるほど、自分のステータスはお前に聞けば分かるのか。」

精霊:「そのとうりでございます。ステータスで分からないことがありましたら詳しくお伝えします。」

兄:「ありがたいな。能力の説明もしてくれるのか?」

精霊:「はい。しかし、私でも分からないことがありますのでその辺りはご了承ください。」

妹:「さっきからお兄ちゃんぶつぶつぶつぶつ何話しているの?」

兄:「いや、精霊と話していて……聞こえていないのか?」

妹:「聞こえる分けないじゃん。私に聞こえるのはお兄ちゃんの独り言だけだよ。」

兄:「あぁ、なら俺みたいにステータスオープンっていえばいいんじゃない?」

妹:「嫌だ!!絶対嫌だ!そんなの死んでも言いたくない。」

兄:「いや、この世界でステータス確認出来なかったらマジで死ぬぞ。」

妹:「いやそんなんあるわけ、」

兄:「あるぞ!マジで。」

妹:「マジで?」

兄:「マジで。」

妹:「ス、ステータスオープン。やっぱはずい。」

精霊:「名前高宮優衣、年齢16歳、レベル1、職業勇者、称号〜神に選ばれし勇者〜、能力(鑑定、全ステータスup、状態異常無効、魔法適正火,水,風,土,光,時、言語理解:魔物以外、英雄乃心得、剣聖乃心得、聖剣技、聖魔術、魔法付与、魔法耐性全,大)、です。」

妹:「うわぁぁ何これ?!これが私のステータス?改めて本当に異世界に来たって実感できたよ。」

妹も自分のステータスを確認できたようだ。

次にすることはレベル上げだ!近くに倒してくださいと、言わんばかりの魔物はいないかなー?……いないな。そういえばさっきなにもないと確認したばかりだった。少し歩くか。めんどくさい、だが仕方ないし我慢しよう。

兄:「今から魔物を倒しに行くけどお前もくるか?」

妹:「逆に、こんななにもない草原に1人でいろと?」

兄:「すまん、ここは聞いといたら良いだろうと思ったんだ。さぁ、出発しようか。」

妹:「そうだね、ここにいてもなにもないしね。早く行こう。」

ここから2人の旅?冒険?生活?が、始まろうとしている。ここから先の話はまた次回にしよう。



兄:「結局、戦闘描写とかはなかったな。」

妹:「良いじゃん、平和に終わったんだからさ。」

兄:「異世界ものから戦闘描写等を抜いたらただのつまらない小説じゃないか。」

妹:「確かに。まぁ次回出てくるでしょ。それまで我慢だよ。」

兄:「分かったよ。次回こそ、活躍して妹の好感度を上げてやる。」

妹:「今何か言った?」

兄:「いえ、何も。」

妹:「はぁ、とにかく第1話を読んでくれてありがとうございました。」

兄:「次回を楽しみに待っていてくれ。」

兄妹:「お楽しみに!これで第1話を終わります。」

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