巨石

起きて目を開けようとした時に

まわりの明るさに戸惑った。


かなりの距離まで見渡せるほどで

洞窟の中とは思えないほどだった。


柔らかくしかしながら遠くまで照らす光を

自分の背後から感じながら

眼前に広がる光景に

少し思考が停止してしまった。


来る時には見えなかった左右の壁に

即身仏が並んでいる。


時間差で湧き上がる途方も無い恐怖感に

身体が震えかけた時

夢の中でかけられた言葉が蘇ってきた。


「おちつきなさい…

安心しなさい。」


そう思い出すと少し冷静になれた。

「一体何故?」


まだ鎮まらない鼓動を落ち着かせようと

ゆっくりとした足どりで

洞窟の入口に向かった。


左右の即身仏に少し怯えながら歩いていると


父がいた。


ついに父を見つけたのだ!


しかしそれは私の望んだ姿ではなく

理由はまだわからないが

父は自分の意志でここに来たのだ。


そしてもうずっとここにいるのだ。


何故かもわからずそう確信できた。

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