捜索

私は毎日のように山に登った。


登山道から脇道から獣道から

人の踏み入ったことのない藪の中まで

山の中を全て探し尽くすつもりだった。


不思議なもので一度見た場所は

覚えていたので捜索範囲を

どんどん広げることができた。


しかし父の痕跡は少しも

見つからないのだった。


そうして少しずつ

絶望というものを

噛み締めていた。

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